
9月〜10月に掛けて金沢マラソンにあわせて開催されていた「金沢マラソンGPSアートコンテスト2023」に参加。そのランニング風景や、初参加した同コンテストについての感想、ハプニング、出品作品についてのメモ。
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ランニング中の景色
金沢一筆描きコースを走った日はこの写真のとおり雲一つないピーカンの晴れ日でとても気持ちよく走ることができた。久々の30キロランだったので、膝を痛めないようにスローペースでスタート。おかげでゴールまで怪我なく完走でき、ここ1年ほぼ毎日ランしていたおかげかペースも上がっていた。いや、これは一筆描きコースのおかげだろう笑(後述)。




30キロにも及ぶ長距離走だったので、ゴールになる頃にはすっかり日が落ち暗くなってしまった。一年ぶりの都市マラソン主催コンテストなので、なくなってしまった京都マラソンGPSアート公募以来のひさびさ感を味わいながら無事完走。
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色んなランアプリで描いた金沢
長距離のGPSアートはNRCのコース画像は向かないことは経験でわかっていた。いつものNIKEアプリだが、この公募ではGPSアート定番のSTRAVAを使おう。念の為、adidasやRunkeeper、TATTA、などの定番ランアプリでも書き出してみる。




ラン計測はGarminでとっているので、各ランアプリに同期し、各アプリからコース画像をスクショできるし、併用すればバックアップにもなる。
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金沢マラソンGPSアートコンテストについて

金沢マラソン参加者に限定した去年のコンテストでは20作品が応募されたが、今年2023年はマラソンへのエントリーに関係なく誰でも応募できるようになったため30を超えるGPSアート作品が応募に集まった。国内GPSアートの常連がほとんど参加しており、審査委員はギネスで有名のYassanと、石川県のGPSアート顔マラソン知事であり金沢市スポーツ事業団理事長・石川さんということで、2023年GPSアート最後のお祭りになった。
金沢マラソンGPSアートコンテストの特徴
だらだら感想を書きましたが、ざっと公募の特徴を短くまとめると次の通り。
コンテストの特徴
- Webのメールフォームからの応募
- 応募画像は①GPSアートのスクショ(必須)、②金沢PR写真
- テーマは「金沢」
- 金沢の所感を添える(思い出や好きな点)
- KMマラT姿や金沢関連写真も審査ポイントに
- 応募期間は1ヶ月(延長あり)、翌月末に結果発表
- 選考はGPSアート専門家が行い、入選作には選評
- 上位2選にはクリスタル盾
- 金沢の新聞、テレビ等の媒体ニュースにも
「金沢関連写真も審査ポイント加算」ということで、ご自身の写真や金沢の風景を投稿される方が何人かいましたが、入選はスタッフウェア(!)の方だけで、写真は影響なさそうでした。
専門家による選評
京都や他のGPSアートコンテストのほとんどが誰が審査員なのか全くわからないし、選考基準もわからず、結果にモヤることがある。この大会のように選評が公開されるのはめずらしく、特に「専門家」の意見がはっきり活字化しWebサイトに残される本大会のコンテストの意義は大きい。

金沢テーマの難しさ
たぶんGPSランナー皆の悩みだろうが、「金沢」をテーマにするというのが一番苦戦する点だろう。兼六園や金沢駅の巨大ゲート、若い力のポーズ、などがすぐに思い浮かぶが、金沢を代表する様々なモニュメントはGPSアートのようなシンプルな線に落としにくい。はっきりひと目で「金沢だ」とわかる形を描きにくいのだ。もうこうなったら「金沢」と書くしかない。最近、文字テーマがマイブームだったし、ということで今回の「金沢一筆描き」出品となった。
一応、兼六園など定番モチーフのGPSアート設計も完了、これは来年にとっておこう。
上位2人にはクリスタル盾
以前、ドール主催のGPSアート公募「バナソン」でも用意されていたが、盾やトロフィー、メダルなどの記念品はマラソン大会ではとても喜ばれる品になる。金沢マラソンGPSアートコンテストでは上位2人に盾が用意され、しかもバナソンと同じように地図が印刷されるというGPS愛溢れる賞品に仕上がっている。これは受賞者にとって嬉しい。この賞品があることで本コンテストが他とは違い特別なイベントになっている。

フルマラソントロフィーも凝っている
余談だが、実際のフルマラソンのトロフィーも彫金芸術をあしらったとても凝った品になっていて、金沢マラソン運営の記念品に対する姿勢が伺える。完走メダルもとてもデザインがよく、デジタルメダル「バーチャルフィニッシャーメダル」も用意されている。
各種媒体での紹介
本コンテストは金沢のテレビや新聞などの各種媒体で紹介される珍しい公募になっているのも大きな特徴のひとつ。京都マラソンGPSアートコンテストでも京都のテレビで放送していたが、これはランナーにとってとても嬉しい。
コンテスト結果発表
同年12月2日朝、審査結果が北国新聞のネットニュースから公開され、最優秀賞には二年連続で「かんとく」さんが選ばれた。作品は52kmもの長距離で描かれた人物像。「友禅流し」で石川県の伝統文化が描かれている。二年連続トップということで、その名の通り現代一番勢いのあるGPSアーチストとなった。
最優秀賞(友禅流し:かんとくさん)
優秀賞(前田利家甲冑:新米ちゃん)
GPSアート公募はフルマラソン超えの時代に
クリスタル盾が授与された優秀賞のこの二つは、45kmと52kmのフルマラソン超えである。もう10キロ20キロじゃ勝てない時代に入ってしまいました。GPSアートは距離と関係ない、というが高いクオリティーを出し、説得力を出すために、最後にものを言うのは数字=距離なのかもしれない。
北国新聞の記事
受賞者さんのブログ
審査結果の発表前にいくつかの完走ブログが公開されていました。今回は期間延長されただけあって、締め切りから受賞者発表までが1ヶ月しかないし。ランナーたちがどんな思いでGPSアートを設計し走ったか。その苦労がリアルにブログに描かれていてとても感動的。エントリーされた絵だけではわからない心労を知ることができます。
【優秀賞】前田利家甲冑(新米ちゃん)
「前田利家甲冑」を出品した「新米ちゃん」こと「ぬの」さんによるGPSアート完走ブログがこちら。設計図段階のスケッチを見てそのリアルさに驚く。このまま胸の甲冑までスケッチ通りに走っていたら、どんなGPSアートになっていただろう。ブログを読むと迷ったり時間に焦ったり(夕飯を作る時間がタイムリミット?)。主婦の方かな。ウルトラマラソン経験者なので、距離には自信ありそう。恐ろしい。
金沢銘菓(トモゾーさん)
こちらは、可愛いウサギの和菓子コース出品された「トモゾー」さんのGPSアート完走ブログ。戦火を避けられたことで老舗の和菓子屋さんが今でも多く残っている金沢市ならではの可愛いコース。耳の部分にピッタリの道があり、この角度じゃないとこのウサギ描写は無理だろう。この耳でガタガタがあったら絶対だめ、そんな部分をしっかり描かれていて、これはわかる人じゃないとわからない素晴らしい道選びだ。
去年の受賞作品
初開催された金沢マラソンGPSアートコンテスト2022年大会では、最優秀賞に「加賀鳶はしご登り(かんとく作)」、優秀賞に「都内で金沢満喫ラン(Sweater作)」が選ばれている。この通り、かんとくさんは二年連続だ。
2022年大会Webサイト
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ひゃくまんさん対決
テーマを絞ったこのような地域PR型公募は応募作が被るガチバトルが起こりうる。今回の公募では石川県のゆるきゃら「ひゃくまんさん」が3作も応募された。題材が絞られると各作品の技量を比べやすい。三作をじっくりみてみよう。(敬称略)
Sweater
ひゃくまん3応募で唯一金沢市外。東京武蔵野GPSアートお馴染みのレジェンド。眉毛を発着点マークで決めて優勝候補かと思ったがまさかの無冠。次年の広告アイキャッチに一番つかえそうなのに。
ひゃくまんさん失格?の波乱
その「ひゃくまんさん」コースを含む合計4作品程のエントリーがインスタから突然削除されるという一幕があった。応募の注意事項「応募の際には、著作権、肖像権等あらゆる権利関係を解決のうえご応募ください」のガイドラインに触れていたのだろう。多くのスポンサーを持つだけあって法的遵守が厳しいようだ。
ひゃくまんさんはセーフに、しかし…
その後、権利の確認がとれたのだろう「ひゃくまんさん」作品は削除が取り消され再表示されたが、「おかめさん」「金沢美術館の椅子」は削除されたまま。ランナー本人の落胆を想像すると胸が痛い。金沢をPRする物やキャラであっても著作権に触れてしまう恐れがある。これはとても難しい問題だ。
得られる教訓
いつもは好きな漫画やキャラクターなどをシェアしあい、楽しんでいても、公共のイベントでは「ファンメイド」「ファンダム」がご法度なことをランナー側も認識すべき、というのが今後の教訓だろう。いつものノリでいるとつい忘れてしまう。自分もまったく気にせず「可愛くキャラ描けてるなぁー」とインスタのエントリーを眺めていた。同時に、主催者側がターゲットとなり得るキャラクターを事前に承諾を得ることも大事だと感じた。
前例に惑わされないこと
過去に、大きな公募であってもキャラクターものが入選したことが何度もある。マリオとかスヌーピーとか…。前例があるからと安心は禁物。50キロを超える長距離GPSアートの応募も見かけるようになった今、1日潰して描いた長距離大作がBANされては大損害だ。ランナーの皆さん、気をつけましょう!
GPSアート公募は絶対にオリジナル作品で応募しましょう。
一筆描きGPSアートの楽しさ
さて、僕が出品した「金沢一筆描き」のように、折り返しも重複もしない完全な一筆描きGPSアートを描くことに最近とてもハマっていて、そんな作品が増えてきた。その代表作をこの章でいくつか紹介します。

地上絵は本来一筆画である
皆、忘れていることだが地上絵とは本来一筆画である。つまり一筆画であるほど作法に近づき地上絵らしくなる。地上絵らしさとは何か。この絵のように何か神秘的で様式美を感じる紋様的な独特なフォルム。これがハチドリ、ってまったく違いますよね、羽もスカスカで。でも不思議と「ハチドリ」にしか見えない。何か神がかっているというか記号的というか、様式美を感じる。

もちろん、こんなことにこだわる必要はなく、GPS時代のでは古臭い考えとも言える。人間が歩いて(または走って)描くからには一筆になることは必然だ。しかし、砂漠ではそうでも道路上ではそうならない。それが面白い。砂漠では道がなく自由にかけるのに道で書いたように様式化し、一方、現代は道に書いているのに自由に描こうとする。人間おもしろ。話を戻します。
「一筆描きGPSアート」の定義
その前に、「一筆描きGPSアート」とはどんなコースを指すのか、ここでちゃんと定義づけしました。それは次の通り。
一筆描きGPSアートとは
コース中に折り返しがなく、スタートからゴールまで一本の線で重複なく綺麗に描き切れるコースのこと。経路の交差は重複にならない。発着地点が同じ場所である必要はないが、同じなら、数学のグラフ理論では完全な一筆描きとして「オイラー型」、別の場所なら「準オイラー型」と呼ぶことができる。
一筆描きGPSアートの特徴
難しい話はさておき、一筆描きGPSアートにどんなメリットがあるのか、何もメリットないのにわざわざ小難しいことをしているわけではないです、はい。一部個人差はあるが、その特徴やメリットは次の通り。
特徴
- 前方に集中でき好タイムを狙える
- 折り返しがないので、GPSアート独特の怪しい挙動になりにくい
- 折り返しがないので、グループラン同士ぶつかりにくい
- 軌跡が芸術的で美しい
- なぜか気持ちよく縁起が良い
一筆描きGPSアート作品集
これはこれで一つの特設ページを作りたいくらいなほど、様式美というかどこか不思議な美しさを感じるんです。僕の気のせいでしょうか。気のせいでしょう笑。変なランをしすぎて頭がおかしいんですw。

現在30作品ほどの一筆描き
わずかに重複があるコースも含まれるが、振り返るとざっと30作品の一筆描きを完走していた。わずかな重複は次のランで完全一筆描きに修正できるのでここに含めました。見て分かる通り、様式的な魅力を個人的に感じる。この路線は今後増やし、この様式美をさらに追求していこうと思います。





























それに、一筆描きコースを増やしはじめて、何気にペースが早まっているんです。これは事実。マジです。やっとアスリートのガチ勢に怒られずにGPSアートできる日が来ているのかもしれません。
AIに怒られたGPSアートの難点克服
以前、GPSアートはマラソンガチ勢に怒られないかChatGPTに聞いたところ、「実際そう思われている可能性がある」旨のAIの返答があった(興味ある方はこちらのブログへどうぞ)。ChatGPTはGPSアートがスポーツマンシップに欠ける行動だとして、集中力の低下やコース上の危険性、それに速度の低下を上げている(ブログ参照)。
だが、今回のような一筆書きによって、3つの欠点を同時にわずかでもカバーすることができる。このことだけでも一筆描きGPSアートをお薦めする理由になるし、第一、やはり仕上がりが不思議とエレガントだ。もうしばらくこの道を極めていこうと思います。