読書、映画、ドラマ感想文一覧:2023年版

ほとんどがノンフィクションですが、今まで読んだ読書の感想文一覧をできるだけ多くまとめています。読んだ後で「どんな本だっけ」と思うととても悲しくなるので、こうしてまとめてさっと内容を思い出せるようになればいいなと。本が気になっている方にも買うかどうかの参考になれば幸いです。

小説

君たちはどう生きるか

ジブリのアニメ映画「君たちはどう生きるか」の中盤で主人公が触れていて、これは読まないと映画の理解が進まないと思い、買って読みました(中学高校時代に読んだ経験があるような気がしたが勘違いかも)。50年前の本とは思えないほど面白く、所々で泣いてしまいます。こんないい本を少年時代にちゃんと読んでおけばもっといい大人になっていたかもしれなません。

コンビニ人間

ゾッとする表現や生々しい現代人の生活様式が我ごとながら興味深くとても面白い。前半は静かに進むが、後半は音を立てて進んでいき目が離せない。最後の結末も気に入っている。

三体

優れたSF小説に送られる「ヒューゴ賞」を受賞したことで有名な中国のSF小説。ミステリーの要素とSFが重なってとても映画向きな話。2024年初頭ごろにNetflixで配信が決まっている。全く先が読めない展開でとても面白かった。映像化されたら「陣列コンピュータ」「素粒子多面体のエラー」がどのように表現されるかとても楽しみ。

ノンフィクション

小説よりもノンフィクション本のが好きなので、こちらの方が多いです。食糧・環境問題、世界史、量子論・宇宙論が中心でジャンルに一貫性がないが、興味が湧いたものは次々と読む。

食料問題

食品の裏側(安部司)、食品の裏側2

調味料、お菓子、即席ラーメン、加工肉、ファストフード、マーガリン、赤い着色料、マーガリン、全部食べれなくなってしまったトラウマ級の内部告発本。

体を壊す10大食品添加物

ベストセラーになった「買ってはいけない」の著者による添加物解説本。前述の「食品の裏側」と重複した内容もあるが、商品名がはっきり表記されより詳しい事例が紹介されている。

ルポ 食が壊れる 私たちは何を食べさせられるのか?

世界で最初に植えるのは日本 色の安全保障をどう守るか

SNSも活発で自国の食糧生産をすすめ自給自足できる国づくりを強く主張しておられる東大教授・鈴木宣弘の本。アメリカに有利な食糧・農業政策ばかりが政治で推し進められている経緯とその背景にある日本の受動的な外交姿勢が浮かびあがり、日本の自主・自立をしなければますます他国の利益優先となってしまう、と訴える内容。安いから買う、行動への警告もあり、地産地消を薦め考えさせられる。

学問

ホンモノの日本語を話していますか?(金田一春彦)

死とは何か イェール大学で23年間連続の人気講義

講義のようにとても遠回しに語っていたので本題だけをまとめるともっと短くできた内容だった印象。結局は安楽死や脳死を「人間の死」と捉え、認知症が進んだ高齢者や安楽死を容認することを暗黙のうちに認めようとの認識に安易につながる結論になっている余韻が残りました。あのように徹底的に死を深掘りするなら安楽死や脳死についてもページを割いくべきだと感じる。

量子力学の多世界解釈

マルチバースのワクワクする話かなと、読み始めてらとんでもない難しい話で、量子論や基本的な物理学や法則を理解していることが前提の論文なので、初心者がさらっと読むモノではありませんでした。でも多元宇宙論とは、こういうことが論点となっていて、こういう話をするんだなと、初心者にとってはその程度の参考にはなります。

生命とは何か : 物理的にみた生細胞(シュレーディンガー著)

自分の頭ではほとんど理解できず、興味のある章だけ読むだけ読んだ。物理や生物学については、大きく噛み砕いた解説本でないと理解できないようだ。当たり前か。この本を読む前に、量子論の解説本で「シュレディンガーの猫」について知り、とても面白く興味が湧いたので、その勢いで読んだ、が無理でした。観測前は物質は波動であり、観測して初めて物質として確認できる、とする量子論は知れば知るほど面白い。が、生命に踏み込むと訳わからなくなりました。

社会

発達性トラウマ 「生きづらさ」の正体

発達性トラウマとは、先天的である発達性障害と違い、幼少期からの成長の過程で受けたトラウマから生じる症状で発達性障害によく似た症状が多く見られる症状を指す。「毒親」といった流行語が作られるこんにち、家庭内や環境から受けるトラウマから人格形成に影響をうけた人は多く、そのセラピーに携わっているみきいちたろう先生による著作。安富あゆみ東大教授などの本を引用。とても面白かった。

原発の嘘

かつて原発建設に携わっていたご本人による著作。福島原発の事故後にたくさんの公演や本を出していて有名。現役の工学専門家による原発ノンフィクション。かつて日本に原子力発電所が一つもなかったとき、建設をPRする電力会社の「電気料金が2000分の1になる」というウソの宣伝をしていた事実に仰天。国鉄民営化をPRする時も交通費が安くなる、路線が広がる、などと宣伝していたが、実際は真逆になったことを思い出しました。

未来の地図帳 人口減少日本で各地に起きること

9割の社会問題はビジネスで解決できる

日本の消費者はどう変わったか

この国を覆う憎悪と嘲笑の濁流の正体

日本を腐らせたいかがわしい人々(適菜収)

グローバリズム植民地ニッポン – あなたの知らない「反成長」

元官僚をされてた京都大学の教授。前半では日本経済の衰退は「反成長」「平和主義」にあるとして左派を批判し、後半では日本の法律や憲法の上に位置すると言われている「日米合同委員会」と政府の対米従属姿勢を批判。平和が成長を阻害する、という趣旨の著者意見に疑問が残るなど、所々違和感があるが、この手の本にしては煽らない落ち着いたトーン。テレビ新聞界では見かけない「反米保守」姿勢。

自民党の統一教会汚染(鈴木エイト著)

噂で皆うすうす知っていたのですが、あまりに陰謀論すぎて人に言うのが恥ずかしい気がした、政治とカルト宗教の繋がりについて、直接取材とエビデンスをもとに明確にレポートされている衝撃の一冊。たしかこの本と取材で、鈴木エイトさんはジャーナリストの賞を受賞しました。

インターネット

ネットやSNSについての書籍も多く読んでいます。

僕らはSNSでモノを買う

この本は、他のSNSマーケ本に比べて簡潔・明瞭で面白かったのでこちらのページでじっくりまとめています。結局企画力が大事なので、その点のノウハウは自分で勉強し考案するしかない。

ファンに愛され売れ続ける秘訣

Twitterの伸ばし方(改訂版)

あなたに合ったTwitter活用術

売れるKindle出版のやり方

非常識Youtubeマーケティング

文系AI人材になる

想像以上に実践的な内容だった。用途や難易度別に、ノーコードを含めAI環境を作る方法が詳しく解説されている。資料豊富。実際に環境を作る予定はなかったが、ざっと知るだけで面白かった。

コラム

オードリー・タン 自由への手紙

世界のニュースを日本人は何も知らない4

ベストセラー本という帯に釣られて読んだ本。著者はtwitterで有名な毒舌アカウントで、元国連職員で英国在住の「めいろま」さん。煽り調の切り口だが、この手の本にしては巻末に引用、参考本一覧なし。本人「感想」だけがブワーっと語られているので根拠があるかないか、判断するのはアナタ次第。

歴史

国際

ヒトラー :虚像の独裁者

今の世界情勢ととても似ている気がして不気味。大量虐殺や侵略戦争が起こらないよう市民はリテラシーを身につけ、他国やマスコミ新聞に頼らず自分の目で政治・言論を監視しなければならず、独裁者登場の予兆を決して逃してはならない。

食べ物から学ぶ世界史 : 人も自然も壊さない経済とは

砂糖の歴史

石橋湛山の65日

国会の超党派グループで研究会ができるほど注目されている政治家・石橋湛山の解説本。岸政権発足直前の石橋総理大臣の政治がざっと勉強できる。詳しい足跡は石橋湛山全集などの専門書があるらしい。真の保守政治家とはこういう人だったのだが、現在保守といえば親米、宗教右派、外国人排斥、のいわゆる「ネトウヨ」の代名詞になっている点でまったく変貌してしまった。しみじみそう実感できる内容。本書後半で、石橋湛山が病で総理を辞職したあとか、後任の岸信介に託した手紙の内容が実に興味深かった。同じ保守政権でもまったく違う、日本の時代の変わり目がここにあったのだと。

国内

草の根ファシズム : 日本民衆の戦争体験

映画

呆れるほどつまらない作品は載せてません。

題名感想おすすめ度
エブリシング・エブリウェア・オールアットワンス2022年度アカデミー賞を総なめにしたミシェール・ヨー主演映画。マルチバースで並行する別の自分のスキルを手にし、ブラックホール化した闇と戦う。⭐️⭐️⭐️
ヒューマン・ボイスいつも脇役ばかりでじっくり見られないティルダ・ウィンストンを30分ずっと凝視できる一人芝居。舞台セットが斬新で物語の主題と一致。⭐️⭐️⭐️
Barbie面白い。男性中心社会への皮肉たっぷりでバービーを打っているマテル社にもそれが向けられている。⭐️⭐️⭐️
Hungerタイの格差を背景にした料理対決映画。⭐️⭐️⭐️
君たちはどう生きるか宮崎駿が自分のために作ったような謎の多い自伝的アニメ。⭐️⭐️⭐️
エモーナLGBTQ+な主人公のファンタジーCGアニメ。もののけ姫や宮崎アニメの名シーンを思い出す場面がちらほら。最後は考えさせられて泣ける。⭐️⭐️⭐️⭐️
別れる決意今までのパクチャヌ映画のアクションエログロな作風と違い、静的で不気味な空気。自作もこの路線でいってほしい。⭐️⭐️
Turning RED中国系カナダ人女性監督のディズニーCGアニメ。思春期の女の子と推し活がテーマで時代に合いとても面白い。母の声は韓国系アメリカ人サンドラ・オー。邦題は「私ときどきレッサーパンダ」で、母役は木村佳乃。短編アニメ「BAO」も泣けておすすめ。⭐️⭐️⭐️⭐️
ローグワンギャレスエドワーズ監督なので観たがSW世界はSF古典のパクリが多く好みじゃないが、この映画はスピンオフなのにSW本編よりもよくできていた。⭐️
SOLOエリミア・クラークとウッディ・ハレルソンの出演以外はほとんど楽しみなし。内容もダメ。点なし
DUNEティモシーシャラメの顔ドアップが満載。古典SFを今風に描いていてとても面白い。SWのタトゥーインや宮崎駿の風の谷、メビウスなど多くのクリエイターに影響を及ぼした異世界の民俗風習や世界観がとても面白い。⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
犬王小説の映画化で面白い。女王蜂のアブちゃんの歌声が素晴らしい。話もすごく面白い。日本のアニメ映画といえば、新海誠、細田守だが、この湯浅政明監督の作品も見たい。⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
否定と肯定実際にあったアウシュビッツ歴史修正主義法廷を映画化したもの。⭐️⭐️⭐️
三島由紀夫vs東大全共闘当時の大学生のインテリぶりがよくわかる。社会をうごかそうとしている大学生たちの理論武装が難解な哲学にも及んでおり、現代の反知性的論説との明暗がはっきり浮かび上がる。
ドント・ルック・アップアリアナグランデがほぼ本人役として登場するなど、皮肉とユーモアが自分好み。ジェニファ・ローレンス、ディカプリオ、ケイト・ブランシェット、ティモシー・シャラメ、メリル・ストリープ、など豪華俳優で話も社会風刺たっぷりで面白い。監督は社会派映画を多く作っているアダム・マッケイ。⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

ドラマ

主に、1シーズンみたものだけ載せています。

題名感想おすすめ度
Foundationアシモフ原作の古典SF。今風にアレンジされてて面白い。これについては専用の感想文ページがあるので、興味あるひとはどうぞ。⭐️⭐️⭐️
インベージョン俳優もセットもSFXも素晴らしいのに内容が。ながら見にはちょうどいいかも。⭐️
医師チャジョンスク二重生活の夫を持つ女医のはちゃめちゃ自立生活。笑えて泣けてジーンとくる、大人向け家族ドラマ。⭐️⭐️⭐️
The BOYS新自由主義的なヒーローたちの正体を暴こうと戦う普通の人間たちの勝ち目のないヒヤヒヤする戦いが見どころ。エログロ場面多いので小さいことは見ないこと。ep2後半からはマンネリ化し、ep3で脱落。⭐️⭐️⭐️
サンクチュアリ・聖域日本の相撲界のスポ根ドラマ。イケメン不在で芝居が生々しくて良い。⭐️⭐️⭐️
マンダロリアン(S1、S2)SW版子連れ狼。黒澤明や日本の時代劇を思い出すシーン多数。S2の最後、ルークの恐ろしさが初めてわかった。前編ジョンファブロー監督だが、一部epでデボラチョウが担当。⭐️⭐️
オビ・ワン帝国軍に活気があり、ジェダイお忍び時代はヒヤヒヤしてSWは一番面白い。監督は中国系アメリカ人デボラ・チョウ。⭐️⭐️
火花面白い。火花は映画もあり菅田将暉が主演しているが、このドラマ版の林遣都と波岡一喜の喋り合いがとてもジーンときて映画より面白いし最後切ない。⭐️⭐️⭐️⭐️

ドキュメンタリー

題名感想おすすめ度
100まで生きる・ブルーゾーンと健康長寿の秘訣自然に近い生き方をするのが幸せと長寿の秘訣というレポートで沖縄にも取材している。⭐️⭐️⭐️

この記事を書いた人

mojigumi

「もじぐみ」の代表、コウです。
専門は企画・出版・編集・印刷、Webデザインと管理。最近はブログ、動画、3DCG、AR、LINEスタンプ等のコンテンツ配信にも力をいれ、自分自身もランニングアートでコンテンツ化に努めています。