2021年9月25日から放送開始されたアイザックアシモフ原作のAppleTV+ドラマ「ファウンデーション(Foundation)」。登場人物や専門用語が多く見ていてパニックになるので、わかりにくい人物名や用語などをここにまとめました。
このドラマはSFの醍醐味であるはずのアクションシーンが少なく、見る人によっては退屈かもしれない。未来の宇宙を舞台にしていて、最新の物理学や、現代の歴史に通じる共通の話題が教訓のように散りばめられていて、意味のないように差し込まれたシーンやセリフから何かしらの文脈やダブルミーニングを読み込めるかがこのドラマを楽しめる鍵であることを感じさせる。
予告編動画
帝国が抱えるドラマがすすむにつれ、地球ととても関係があり共通する問題が展開され、どうしても比較してしまい、そこにもこのシリーズの面白さがある。アシモフがこの小説を発表した頃、おそらく米ソ冷戦がピークの頃で、宇宙ロケットの熾烈な競走が行われた頃だ。ロケット技術でソビエトに先を越されて焦るアメリカは、あのナチスから引き継いだV2ロケットの技術を借りてまで東側を追い抜こうとしていた。つまり東側優勢である世界情勢が、2021年「神宮」宇宙ステーションを確実に建造し中国優勢になりつつある現在の空気感と重なる。より直接的にそれを描いた「フォー・オール・マンカインド」というドラマがAppleTVにはあるが、2021年に起こっているニュースを連想させる「象徴」をドラマのなかで多く散りばめていることに気づく。これは2021年にぴったりな作風にアレンジしたApple風の知的なメッセージだ。
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AppleTVはアップル社が配信しているサブスク映画コンテンツで、ネトフリのようなもの。ファウンデーションの一話だけなら未登録でも無料で視聴できるし、登録すれば1週間くらいは無料で視聴できるので、1週間で全話みて解約する方法も裏技としてできるかもしれない。
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人物と用語解説、その背景
AppleTV+版「ファウンデーション」の登場人物名や相関関係、わかりにくい科学用語、数学的専門知識などをまとめました。回が増すごとに下のほうに記され、一番上が1話冒頭です。
表の一番右の欄には一部ネタバレが含まれています。
名前 | 解説 | 背景⚠️ネタバレ注意 |
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👩ガール・ドーニック | 「カーレー:折り畳みの第9証明」の基礎である「アブラクサス予想」を解いた天才少女。シンナックス星で藻類養殖の両親を持ちながら、数学と知的好奇心が禁じられている習慣での中では異端者で母国でも逮捕目前の立場であった。数学コンテスト(アブラクサス証明?)で優勝が表向きの理由だが追放された形でトランター帝国のセルダン博士に招かれ移民。その際、頬の刺青「祈りの石」を切除するが予言教会に通い信仰を忘れない。 8千万台もの素数を暗記し、不安時にお経のように唱えることを彼女は祈りと言い故郷の祈りの代わりにしている。素数暗記を間違えた時に不吉な何かが起こる。 | シンナックスでは科学・数学への「信仰」は生命の価値を下げる行為にあたり、迫害される。 かつて、シンナックスの教会は帝国から攻撃を受けた過去を持つ。 逮捕が判っていた博士に安易と入管を通り招かれた真相は、博士の有罪(アブラクサス理論の欠陥)を彼女に証言させることが皇帝の目的。 テロ予知などを当て直感的な予言能力がある? デリヴァランス号でレイチの子を宿した胚を保管。 「カーレー:折り畳みの第9証明」は、1話から500年前の帝国前時代に作られ表向きはスラックス語の詩であるため(カーレー本人はは女性)一般人には論文であることさえわからないが、ガールは詩の中に「非アルキメデス局所体」を読み取り解読に成功。そのカーレーの禁書を何故シンナックスで手に入れたかをセルダンが疑問視していたが、禁書所持で処刑となったソーン教授の盗掘によって手に入れているというダビンチを彷彿とさせる衝撃の過去も。 アブラクサスを証明することは帝国が考えたオトリで、ガールはそれに掛かり命を脅され嘘の証言を強いられたが、帝国の意に反し真実を言い流刑を受ける。 2話衝撃のラストシーンで、小惑星群(おそらく「アンターベルト小惑星帯」で漂流)。 |
👨レイチ・フォス | セルダン博士の弟子。スターブリッジ地表駅に着いたガールにトランターを案内した。幼少の頃、大学図書館の紀行本書庫でアルバレスの希少本盗んだところをみつかり、博士は養子として迎えた。 | 母は早く亡くなり、父は職場の乾燥室で背中に火傷を負い失職。幼少時代のレイチは父の火傷の薬代を稼ぐために本を盗んでいた。それをセルダン博士は知らず、父は酒に溺れた男という認識だったが、実際は博士の弟子を選んだことが父を捨てる形になっている気まずいジレンマがある。 セルダンの理論に欠陥があるとガールに告げられ、困惑し、それ以降セルダンと気まずい。欠陥のためか、ガールを守るためか?信念を捨てガールに嘘の証言をすすめたり、2話でセルダン博士を殺し、ガールも共犯視。 |
👴ハリ・セルダン博士 | ストリーリング大学教授。未来予測ができる心理歴史学を立て、正確に帝国歴史を預言するが皇帝は政権批判と捉え反逆罪で逮捕。皇帝は彼を「不吉な大カラス(レイヴン)」と呼ぶ。本を盗んだ少年レイチを養子にする。新しさや多様性にこそ価値あり、遺伝王朝では局面を乗り越えられないと皇帝に訴え、有罪に。 | 裁判で帝国崩壊と1万年の暗黒時代を警告し、ガールと信者らとともに辺境の星へ流刑される。それは表向き「ファウンデーション(崩壊後の遺産継承計画)」とされていた。 故郷は、ダークスターを周回するヘリコン。 帝国紀元12,068年8月8日死亡 |
👨ジェレル・ザイラス | トランター帝国への道中、ガールに声をかけた道案内人。ジェレルは本名ではなく、帝国の審問官。 | 彼女をシンナックス時代より尾行監視し、博士から没収したであろう「プライムレイディアント(基本輻射体=電磁波が粒状に放出される物体)」をガールに渡し、欠陥を裁判で証言するよう脅す。 妹は7歳まで喋れなかったという。 |
👴預言教会の司祭 | 22層目に位置する「予言教会」の司祭で「眠れる者」を信仰。数学者やガールを異端者と呼び忌み嫌うが、逮捕を恐れ教会に訪れた彼女を助けがいるか言葉かける。 | ミソジニーの空気漂う老人だが、ガールの裁判を傍聴するなど彼女に運命を託している。彼が信仰している「眠れる者」は未来を予言し、セルダンと信奉者たち、女は皆死ぬと予言(実際、セルダン計画の一団はアナクレオン軍に多数殺害され、絶滅危機が6話に訪れ、予言教の言葉は満点ではないが当たる傾向?何を元に予言を得ているか詳細不明)。「眠れる者」とガールは無関係であると伝える。 |
👩ローズ・アダキム | ハリ博士からガールを守るよう依頼を受けた弁護士 | |
👴オリオ教授 | 12歳から68年間、帝国宮殿内「魂の壁画」を描く宮廷画家。 | 壁画は30世紀の平和を描いており動く顔料で砂絵のように塗られている。セルダン博士の論文を読んだことが発覚し壁画の前で処刑。 |
👦ドーン | 子供の皇帝。第一話ではクレオン13世。 | バルタロス出身の銀河系の独裁的カリスマ、クレオン1世の遺伝子を受け継ぐ少年期クローン。1万年間の支配はたった1世1人のクローンを繰り返している。 |
👨デイ | 中年の皇帝。第一話ではクレオン12世。 | クレオン1世の遺伝子を受け継ぐ中年期クローン。銅像や壁画など、都市中の芸術作品は全て政権維持に使われており、「芸術とは政治を受け入れやすくするもの」との持論を持つ。 |
👴ダスク | 老人の皇帝。第一話ではクレオン11世。 | クレオン1世の遺伝子を受け継ぐ老人期クローン。衰える自分を不安視し、人生経験豊富ながらもセルダンの数学的予言と「眠れる者」のスピリチャルな予言を信じかけ、ブラザーの中で予言を一番怯えている。 |
👩デマーゼル | 皇帝の補佐やドーン少年皇帝の教育係を務める。強権的だが、一線を超える皇帝よりも冷静さを保つ。 | 本当はAIロボットなのか、人工的な構造物を人口皮膚で隠している。ということはアナクレオン語、セスピス語など銀河の言語に通じている可能性大で、壁画や皇帝への外縁側陰口も当然理解か。 かつてデマーゼルの種族は帝国に滅亡されている。 |
🌍帝国都市トランター | 1万2千年続いている銀河帝国。アナクレオン1世の誕生で銀河は安定し、その政治力維持のためクローンによる遺伝王朝を400年続けており、第一話では12世がデイ(中年時代)を務めている。を軌道と地表を結ぶ巨大建築「スターブリッジ」と、100層に及ぶ都市で構成。 | 爆破テロで50層まで被害が及んだ。 トランターには周辺の星を「僻地」と呼び、信頼や尊厳はない。帝国の支配は進んだ文化や科学技術が要であるが、恫喝や武力、経済力による傀儡化で周辺国を収めており、文明的停滞を招いている。 |
🌍惑星アナクレオン | 緑色の星で、木製笠の衣装の外交官ザンデム大使の星。アナクレオンとセスピスは外交的緊張状態にあり、その仲裁でトランターの役人が死亡。その葬儀にガールは空港で出くわす。 | アナクレオンの狩の歌をデイ皇帝は穢らわしく価値がない、とドーン少年皇帝に持論を広げ敬意なし。 アナクレオン大使は、伝説の狩人ラーケンカイインの弓と同じタリンの森の最古の木で作られたレプリカを皇帝に献上。 壁画を母国語で愚痴るなど毒舌的。 |
🌍惑星セスピス | 赤色の星で、青い目の外交官シェー・ウン・シェー公子の星 | 帝国から5万光年はなれた惑星。アンター惑星帯領土問題でアナクレオンと緊張状態にあるが、帝国による「アンターベルト協定」の仲裁によって9世紀の間平和が続く。セスピスは宗教上、アンターベルト小惑星帯を重要視していると帝国に表向き訴えるが小惑星帯で採掘できるパラジウム鉱石が目的で、その一部を帝国に納税することで、協定を有利にし帝国を利用している向きも。献上品に税率を上げてもいいとの暗号を秘めしたたかな外交。 |
🌍惑星シンナックス | 生命と自然を信仰。「祈りの石」を外すと予言教会から破門される。科学・数学を学ぶと粛清することを浄化と呼んでいる。 | 過去に帝国から攻撃を受けた歴史があり詳細は謎。信仰が深くシンナックス教会は惑星内の大学を攻撃し、学問はタブーに。 |
🌍惑星ターミナス | 帝国から5万光年(ジャンプなしでは1871日=5年1ヶ月かかる)にある赤色矮星の惑星なので未来がなく、銀河系外縁の無人だが、アナクレスとセスピスに近い。 | デリヴァランス号の廃材を使った地熱発電所でエネルギーを得ている。 |
🌍衛星メイデン | スーラ星系にある月で3つの衛星中唯一人が居住。ルミナス教の大尊師が住む衛星。レビアタンクリスタルの原料、レビアタン岩塩坑の塩が採掘される。 | レビアタンクリスタルは「プライマリー・オクターヴォ」を信仰する者が腕につけ石に触れて祈り、デマーゼルもその1人だった。石は三女神の旅の象徴で、メイデン、マザー、クローンを表す。教義の詳細はルミナス教欄へ。 |
🚀ジャンプポット | 宇宙船に極小ブラックホールのような異次元物体を発生させ目的地に落下するワープ航法。航行中は必ず睡眠するが、起きてしまうと時空光しょーが見られるが、心と体が分割されてるとジェレルは言う。ガールは眠れず光を見てしまう。 | 異次元に左右されない特殊な異星人が宇宙船を操作している。 ジャンプ中の会話(4次元空間と重力の干渉によるジャンプ不具合)から、セルダン博士がジャンプの理論の基礎を作ったようだ。 |
🚀デリヴァランス号 | トランターからターミナスに向かうファウンデーション一団1710人が乗る船。船員はすべてセルダン博士が歴史心理学も元に適材適所に選んだ。ターミナスまでの5年ほどをワープなしで旅した。ブルーチーム、イエローチーム、など班を分けて任務についていた。ガールはブルーチームに入った。 | 宇宙とターミナスでの放射能汚染を避けるため、男女カップルの受精卵を胚と呼び医務員が保管。ターミナスでは1710人中5年で34.2%が死亡すると予測されている。 ターミナス到着後は廃船。惑星生活の資源としてあらゆる機材がつかわれた後、帝国紀元12,072に退役。廃墟となり立ち入り禁止。 |
🚀ベガー | セスピス人でサルヴァーの恋人・ヒューゴの商用輸送船 | 音声認証で船長を変更でき、船長の命令しか聞かない。 |
🚀レイヴン | レイチの宇宙船。レイヴンとは皇帝がセルダン博士に悪意を込め名付けたあだ名(レイブン=不吉なカラス)から名付けているようだ。 | セルダン博士の故郷・ヘリコンに向かっていて、レイチとセルダンの意識はデリバランス号から離れここで巡り合うことになっていた。ヘリコンでは第二ファウンデーションが進行中で、そのことは他のメンバーにも視聴者にも計画遂行の為に知らされず、二人だけの秘密であった。 |
霊廟:れいびょう(ヴォールト) | ターミナスにある巨大な物体で宙に浮き生き物を近づけないが、サルヴァーだけが唯一近づける。 | なぜサルヴァーだけが近づき触れられるのか不明。サルヴァーに何らかの残像を見せつけるが、サルヴァーはそれをセルダン博士のメッセージであると直感している。霊陵はセルダン博士設計のものか不明。霊廟が見せる残像は解像度が高く鮮明な点でホログラムと違う。 |
🐅アップバレー | アップバレー、司教の爪(ビショップズクロー)と呼ばれているターミナスの大型獣で外縁部に生息している。 | |
👩サルヴァー・ハーディン | 惑星ターミナスにある謎の霊廟(ヴォールト)の番人? | 恋人はセスピス人のヒューゴ。 1話最後のガールのナレーションのでは、銀河系の運命を握る存在であり、セルダン博士も彼女の存在に気づき最も恐れていたという。 |
👤ホバー・マロウ | 不明 | いつかこれらの名前を知るだろう、とガールがナレーション |
👤ミュール | 不明 | いつかこれらの名前を知るだろう、とガールがナレーション |
📕ロボット戦争 | AIロボットとその支持者たちが帝国に対し反乱を起こしたらしいが詳細は不明。 | 帝国の宮廷にリンゴ園があり、ロボット派が吊るされたという。セルダンはデリバランス号の小さなリンゴ園を眺め、「人が吊るされるといい」というニュアンスで語っている。ロボット派を支持した過去があるのかもしれない。 |
👩ジアム・グアルバー | 準惑星エスラにプラントを持つ違法なバイオハック施設の運営者 | スターブリッジの自爆テロに使われた皮下ナノレース爆弾の製造者。爆弾発注者のデータを削除。帝国デマーゼルの襲撃で致命傷を負い、神経刺激デバイスを首に付けられ尋問を受ける。 |
👨ルイス・ピレンヌ理事長 | セルダン計画のファウンデーション基地のリーダー。プライドが高くガールやサルヴァーに対し見下し気味。 | セルダン亡き後、継承順位としてセルダン計画の指揮をとる。自尊心の高さがアダとなり、ターミナス基地の支配権をアナクレオンに奪われる。 |
👩ダラ | セルダン計画の一員でルイスの妻 | ベガに乗りアナクレオンのファラと共にアンターベルトに向かうルイスと離れターミナスに残る。 |
👩シヴォーン | セルダン計画ブルーチームの女性。掘削シミュレーター試験で獣に襲われ爆発し0点に。 | |
👩ブルワン | セルダン計画ブルーチームの一人。掘削シミュレーター試験で獣に襲われ爆発し0点に。 | |
👨アッバス・ハーディン | セルダン計画ブルーチームの一人。掘削シミュレーター試験で獣に襲われ爆発し0点に。セルダン計画のマッチョな一員。「暴力は卑怯者の最後の砦」という教訓を人生経験で体得。 | マリと結婚しターミナスでサルヴァーの父に。セルダン計画には関心がなく、両親が帝国トランターでスターブリッジ建設にあたっていたおかげで家は裕福だったが、帝国の格差社会に気づいていた。マリがセルダン計画を信じており、「好きな子のために計画に参加」という、科学とは無関係な側面からもファウンデーションが支えられていた一例。決して信念だけを絆としていない多様な集団であることを理想とするアシモフ+AppleTV的テーマが窺える人材か。 6話でアナクレオンのコルベット船破壊のために地熱発電とともに自爆発死。最後の言葉は「拳を開け、風に逆らうな」 |
👩医務室の女医 | セルダン計画の女医。胚貯蔵(シードバンク)管理をしている。 | 受精卵は放射能汚染に直面する世界なので、 |
👩マリ・ハーディン | セルダン計画ブルーチーム。予算小委員会女性委員。掘削シミュレーター試験で獣に襲われ爆発し0点に。 | セルダン計画の1人としてデリバランス号に乗る前からアッバスと付き合っていて、結婚しターミナスでサルヴァーを産む。 |
👩ビーナ・アイルワリャ | 洗濯室作業 | |
👩ラウリー | セルダン計画のアジア系科学者。受精卵をシードバンクに預けなくてはいけないセルダンのルールを守らず、放射能の汚染度はターミナスと変わらないといって船内出産を望んでいる。 | ガールと友人だが犠牲者の数に冷静過ぎるガールを問い詰める。 |
👩イエイト | セルダン計画の若い女性科学者。 | ポリー、ライロの母親 |
👨トラヴィク | セルダン計画の若い男性科学者。ターミナス基地南の防壁を守る。 | |
👨ケイリン | セルダン計画の若い男性科学者。ターミナス基地西の防壁を守る。 | |
👨ヒューゴ・クラスト | 制裁で禁じられているアナクレオンへの密輸もする貿易商セスピス人。70歳近い年齢だが、冬眠ポットを含んだ年齢で、見た目は30歳くらい。宇宙船の名前は「ベガ」。 | サルヴァーの恋人。音声でロック解除する自前の宇宙船を持っており、ある事情でサルヴァーに所有権を譲る。 |
👦キーア | 1話で霊廟に一番で近づいて気を失った子。 | 霊廟で気絶しそうになりふらふらで帰ってくる。 兄がいる? |
👦キーアのお兄さん | 金髪の子 | 名前不明 |
👧ジア | セルダン計画の一団の子供。霊廟に近づけたらおっぱいを触らせてあげる、といった賭けをするなど、男勝な少女。 | 霊廟で気絶しそうになりふらふらで帰ってきたキーアを笑う。 爆弾で気を失ったポリーを助ける。 |
👦ポリー・ヴェリソフ | セルダン計画のインド風の少年。1話で霊廟に近づきすぎて気絶して、サルヴァーが救出した子。 | 爆弾で気を失ったところをジアに助けててもらう。「月にかけて…」「月よりも…」というのが子供たち口癖で月信仰の家系かルミナス教の影響か。 |
👩ジャセンタ・ロウ | セルダン計画の環境エンジニア | 夫の足をファラに打たれ、強制的にアナクレオンの一団に連行される。 |
👨アキヴァ・リー | 量子エンジン整備士 | |
👴サンウォール大使 | 大尊師(プロキシマ)オパルの死を皇帝に報告したルミナス教の老人大使。 | デイ皇帝を衛星メイデンのルミナス教に案内する。 |
🔔ルミナス教 | 1万5千年の歴史を持ち銀河中に信者3兆人を持つ大教団。銀河帝国の歴史よりも古い。大尊師(プロキシマ)をマザー呼ぶ?。三女神である、メイデン、マザー、クローンを崇め大きな石像がある。「三柱の祝福」を唱え、①転生②永続(ウロボロス)③完全性、の3極探求を教義とする。メイデン、スーラ、ドール、の3つの月の神話で例えられ伝わっている。月の名前、女神の名前、三極の名前、とややこしい。 | 内宇宙40兆人の人口のうち3兆人の信者なので、銀河の7.5%程がルミナス教と考えると案外割合高め。(地球の総人口78億人として、割合はキリスト教31.3%、イスラム教24%、ヒンドゥー教14.9、仏教6.3%:世界の宗教人口参考。なので、ルミナス教の割合は地球で例えると仏教より多めで勃興するインドといった印象か)。3極探求は中国儒教の陰陽道、グレートスパイラルの苦行はイスラム教のメッカ巡礼を連想させる。 |
👴大尊師(プロキシマ)オパル | ルミナス教団女性教祖。オパルを任命したのはクレオン12世(1話のデイ)。 | 皇帝は代々銀河皇帝に忠実な尊師を指名してきており、オパルもその1人。 |
👩ゼファー・ギラット | 銀河皇帝に忠実な女性尊師。おパルの葬儀で演説するが、胸を打たない官僚的作文風な言葉に、大衆も儀式として拍手している。 | クレオン10世がオパル死後の後継者として指名するが、経済的大支援も虚しく大衆に人気がない。ルミナス教はこのように、能力やマンパワーではなく、経済支援などの帝国からのテコ入れで権力を維持していた「傀儡政権」であったといえる。 |
👩ゼフィル・ハリマ・イファ | 皇帝をたった1人で出迎えた女性尊師。銀河に変化と繁栄を求める。惑星ミラス12生まれ、震災復興の指揮で指示を集めた。ゼフィル(尊師)になってまだ一年も満たないが後継者候補になる。言葉に説得力とカリスマ性を秘め、大衆の心を掴む。 | 「プライマリー・オクターヴォ」という原理主義への回帰を目指し銀河に変化こそ銀河の進化であると訴える。この回帰運動にデマーゼルも深く関係している様子。予告編でも支え合うシーンがチラ見。 |
📕プライマリー・オクターヴォ | 帝国側は異端の経典であると説明する、帝国前時代からある教義で「独立知覚対(魂は”個”の存在に宿る)とする教え」を説いている。 | これは、帝国は異端の経典であるとする、帝国前時代からある教義。カルト的保守的原理主義的というより、変化や多様性を受け入れることで進化を推し進めようとする教義である点で革新的。 |
👦クレオン14世ドーン時代 | 壁画を消し、自分を失い自殺願望のある迷える青年。庭師アズーラ・オディーリに恋をする。 | クレオンの目的を失い生き方に悩んでいる。ドローントンボを自作するほどの工学青年。クローン人間初の色覚異常であったことで、壁画を見ることができなかった。この秘密を知っているのはアズーラ・オディーリのみ。 |
👨諜報員(シャドーマスター)オグレーヴォ | クレオン14世ドーン時代の諜報員。 | |
👩アズーラ・オディーリ | 13歳から庭師として帝国庭園で働き、亡き親も農業生態学の学者で庭師だった。母親は生花学校講師。クレオン14世の好意に応える。 | ドーン時代のクレオン14世の自殺の唯一の目撃者。臭いに敏感な彼にルピ・スピリトゥス(ウルフズブレス=狼の吐息)という鎮痛剤効果のある薬草をを渡す。 バルコニーで命を賭けた青年クレオン14世の問いかけに、同じく命を賭けて応えたことで2人の気持ちは通じ合った。 |
👩ファラ・カイーン | アナクレオンの生き残りの女性狩猟部隊司令官(グランドハントレス)。顔半分に大火傷のケロイドが残り、左目はナノガラスの義眼。 | 5歳の頃にうけた帝国テロ制裁の中性子爆撃によるもので、弟(イレックス)は目の前で爆死、母親は甲状腺癌で被爆死か。帝国への強い恨みを持つ。尋問中「ラーケンカイーン」を叫ぶ。幽霊船と言われる過去の駆逐艦「インビクタス」を救済と呼び修復を目指す。その操縦のためセルダン計画の技術者たちを奪う。目的は宇宙漂流というが真意は不明で、おそらく帝国への報復。 |
👨アイアン・ウッド | アナクレオンの生き残りでターミナスに設置したエネルギー砲の狙撃手 | ドゥーインのジャンプポッドを狙撃 |
👨ドゥーイン | ターミナスのからの通信が途絶え調査に飛ぶようクレオン12世から命じられる。 | 第5話ターミナスに付くが、アナクレオンリーダー・ファラのエネルギー砲に打たれジャンプポッドもろとも墜落。救命艇で助かったがアナクレオンの人質に。 |
👨ローワン | アナクレオンの生き残りでターミナスの地上部隊を指揮する。 | 小さな娘がおり、家族と子供の幸せを望んでいる彼は、ファラが起こそうとしている帝国へのインビクタス攻撃を内心恐れている。攻撃は銀河全面の崩壊を起こし家族が犠牲になる。サルヴァーは彼のそんな背景を読み、度々説得し揺さぶることで彼は心のなかで悩み葛藤が膨らんでいき、キツかった目つきが娘を思い出し優しくなっていく。そしてついにその視線はファラに向けられる。 |
👩ドミニ様 | ターミナスにあるガールが住む海上村の司教。 | 信者には優しいが、無表情でソーン先生を海に突き落とす「浄化」を実行する恐ろしい司教。 |
👴ソーン先生 | 人間にとって知識の崇高な探究に勝る仕事はない」と説く元大学教授。ターミナスの大学はかつて襲撃にあい立ち入り禁止となり入ったものは異端視される。その中の本を物色しているところをガールにみつかり、司祭ドミニによって処刑される。 | 「カーレーの折りたたみ理論」もろとも海に沈められ処刑されるが、そのカーレーの本を海中の遺体から離し、ガールは自分の物にしていたのだった。 ターミナスの水位上昇は噴火口を掘りすぎ(資源掘削か)で北極の氷が溶けたことが原因と説く。 |
👨ロムス | クレオン14世の鳥狩(ギリー・ラプトル狩り)のお供をした宮殿の召使い | ギリー・ラプトルを6羽しとめたドーンだが、3羽を隠すよう命じられ、茂みに隠す。だが諜報部にやがて見つけられてしまう。 |
🏰ゴッサマー・コート | 皇室の恐怖、欲望、快楽を発散する場所で、初代クレオンが定めた制度。コートを離れる際、記憶を消される。大奥と違いお世継ぎはつくらない。 | クレオン14世はオディリにしか目がなく誰にも興味がもてない。それは遺伝皇帝始まって以来の「事件」だった。ドーンは女性と何もなかったのに女性にはシャワーシーンがあり裸のダスクと語っている場面がある。ドーンの相手女性と関係をもつ嗜好が垣間見える悪趣味な場面。ただの快楽発散ではなく、この「制度」は悪しき相互監視なのだろう。性的な弱みを握り操ろうとしているのかもしれない。 |
スロイ・ウン・サーク王 | 伝説として伝わる惑星セスピスの王。 | 多い過去、結婚相手のアナクレオンの女猟兵に喉を切られ殺された伝説をもつ。 |
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ドラマの見どころ
ワープ航法や巨大建築など、科学に裏打ちされた大帝国の科学・数学的礎であるセルダン博士。現代の地球で例えると、スティーブ・ジョブズやアインシュタインのような当代の天才が「明日、地球は滅亡します」なんて発表したら、世界的な動揺がいかなるものか想像できる。この物語、帝国のインテリ層のカリスマで信奉者を多く持つセルダン博士が突如「帝国は滅ぶ。数学で計算した」と訴えたのだ。数学が、法律や哲学よりも上位にある現実的な未来世界が描かれ、これぞサイエンスフィクション(SF)の極地ともいえる面白さがある。
このページのブログ著者は「ファウンデーション」の原作を読んでいません。原作と本作ドラマは性別や登場人物や物語の進行に違いがあることがわかっています。このブログではAppleTVドラマで放送された内容に軸とした感想である点ご了承ください。ブログ著者の思考実験=妄想も多く含みます。
第1話「皇帝の平和」〜第2話「生存の道」
ここからはファウンデーション第1シーズンの具体的な内容についての感想文です。回が進むごとに多くのネタバレを含んでいますので、ドラマを見た後で読まれることをお勧めします。
ここでは物語の始まり、セルダン裁判での銀河帝国滅亡の警告とスターブリッジの崩壊をドラマにしている。
美しく科学的なワープシーン
この回。ガールが母国を離れ銀河帝国トランターへと向かうためジャンプ(ワープ)するシーンはとても面白い。SF映画やドラマでワープシーンはたくさんあるが、どれも「ビューン」で終わりなのだが、ファウンデーションのワープシーンはジャンプまでのステップがとても興味深く描かれている。ガールが言う「時空と重力が干渉しあって不具合を起こさないように…」以外にジャンプ詳細の説明はないが、ここでシーンを見ながら何が起こっているか勝手にだが次のように予測した。
ワープ工程予想
- ジャンプ中は精神に影響がある(物体と魂が分離してしまうらしい)ので、人間は眠らされ、船はドロイドが管理。
- 宇宙船(ジャンプポッド)中心の時空制御装置が回転
- その装置中心に巨大な重力場が発生
- 宇宙船はブラックホール化し特異点が宇宙船を包む、それはどういうことか?。我々のいる宇宙からブラックホールを見た場合ただの点である。しかしブラックホール化(つまり中の視点から)宇宙をみると、宇宙がただの点になり距離がゼロに。
- 点になった宇宙を、宇宙船は移動する。これは我々宇宙側かわみると「穴に消えて、穴から出る姿」として観測する。宇宙船視点でみると、ブラックホールの特異点に集まる光子たちの渦とともに「宇宙外」から出現先の点をみつけブラックホールを停止し出現する。
心理歴史学の予言の計算方法を考えてみる
ドラマでは計算の詳細を省いているが、素数の描写や歴史心理学を可視化した天文図から想像するに、この時代の数学・科学は、素数の謎「リーマン予想」や量子論など数々の難問が解かれ、数学物+物理学+量子力学の融合に加え、銀河規模のビックデータを高次元量子コンピュータで統計学にかけ高確率な数学的予言を成功するまでに至っていると想像する。この数学は難解を極め、限られた天才にしか理解できない。(ここで想像してしまうのは、かつても予言とはそうだったのではないか?ということ。つまり、当代の思想や科学に影響される中で、その時代に最先端の「科学」で未来予想がされていた)。話が逸れたので戻します。
帝国を一万年続けられたのは遺伝子操作による政治家の複製だが、クローンは多様性がなく、ただ過去の成功をコピーしているだけに過ぎず、しかも古い強権政治であり古代統計学は新局面に対応できない。皇帝はそれにとうに気づいており「来るべき日」を恐れ粛清を進める悪しき無限ループに陥っている。
科学はいずれ宗教と一体化する
これはかつての宗教に酷似している。科学が発明される前の宗教は、「奇跡」を目撃したりお告げを聞いた少数の救世主や神父・司祭だけが理解し、大衆はそれを信じるか信じないかの「信仰」であった。極度に進んだ科学や数学も同じように巫女のような才能にしか理解されないほど難解を極め「信仰」と変わらなくなっている点がこのドラマでも描かれていてとてもユニーク。かつてアインシュタインが「宗教と科学はいずれ一つになる」と予言したそうだが、ドラマ中、本当にそう感じられて(主人公が素数をお経のように唱える等)見ていて面白い。大昔のキリスト教や多くの宗教もその時代の科学の最先端であったはずで、いまも私たちは「この時代の信仰」にしばられていることを感じさせ、ファンタジーなのに他人事ではない。
序盤、古い習慣につつまれたシンナックス星を古くて硬い習慣、と決して蔑むことは誰にもできないことを、ストーリーが進むにつれ感じさせ、現代の自らの問題に置き換え実に考えさせられるドラマだ。
滅亡すると判った時、どうすべきか
核戦争で地球が滅亡する映画やドラマは数多くある。しかし、滅亡後の絵はどれも同じで、破壊されたビル群やマッドマックスのようなおなじみの砂漠の地平線だけだ。「ファウンデーション」の面白さは、「滅亡」を完全に割り切り(生き延びようとか、延命しようとか、救いを一切求めない。それは銀河規模の放射能汚染などにより絶対不可逆的である星間戦争級の大汚染では救いがないため、絶滅後に非物質的な「銀河百科事典」つまりデータを後世に残すことが唯一「救い」となっている。)、超巨視的見地から、絶滅期間の最良の通過方法を大まじめに提案している点が面白い。地球コア冷却、太陽の超新星化、宇宙人襲来?、いずれくる地球の崩壊の日に、そんな知的な問いをパニック好きの人類に冷静にできるか皮肉混じりに問いかける原作者アシモフの意地悪さ感じさせて、とても面白い。ここまで高度に発達した文明が、ただの星座のお伽話になろうとしている儚さ。だが、天才たちはドラマのなかで「大銀河文明百科事典」を創ることを大まじめに訴える。めちゃくちゃ面白い。
自分たちの救命ボートを作るのではなく、次世代が安心して乗れるタイタニックを作ろうというのだ。スターウォーズには微塵もない数学者的発想がもう…、これに驚く。
車輪をもう一度発明する必要はない
裁判で博士が言うセリフだ。一度作り上げた文明をゼロから創る必要なく、知識を保存し再建の手間を手短にしようとする発想は、既存のコードや共有を多用するオブジェクト指向プログラミングを連想させて、「レガシー」という単語の奥深さを感じさせる。逮捕する立場である皇帝側の女性デマーゼルは証言中の博士の言葉を聞き入っている。
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この回の要点(⚠️ネタバレ注意)
- レイチがセルダンの耳元からはずしたものは何か?(人命センサーか?それとも、エスラの神経刺激デバイスか?)
- 1話で、レイチがセルダンに不安気に渡した三角形のピルケース。2話のデリバランス号の食堂でセルダンが取り出しk服用している。あの薬は何なのか?
- 帝国が二惑星に放たれた攻撃は中性子爆弾であることが、4話で語られ、人口の半分が失われ、生き残った人々も汚染やガンなど後遺症で惑星を離れ、難民として宇宙を流浪しなくてはならない。つまり、アナクレオン人とセスピス人はこの回で母星を失った。
参考になるブログ
このページのブログ著者はAppleTV+ドラマ「ファウンデーション」の原作「銀河帝国興亡史」を読んでいない。原作と本作との違いについての詳細は、下記リンク先のブログがとても詳しいので参考にどうぞ。
素数のおもしろさ
素数はこのファウンデーションのSFドラマで、主人公ガールがお経のように唱える呪文。素数の面白さは、一見バラバラに見える素数が、ある公式でπ(円周率)とe(自然対数の定数)、それに素粒子の動きとの関係していることが明らかになっているから驚きだ。下記は素数について詳しく解説するNHKスペシャルの動画。素数と宇宙の関わりがわかって面白いです。ご参考に。
第3話「数学者の亡霊」
2人の数学者とレイチがファウンデーションからいなくなり、「神」不在の弟子たちと、夢の象徴である壁画が消された銀河帝国、そして辺境の星々の台頭
ここでは前話のダスクだったクレオン11世の寿命で砂にされた死後、子供(ドーン)だったクレオン13世が青年(デイ)になっており、ファウンデーション1世たちの子供たちも流刑の惑星ターミナスで青年に成長し世代交代している。
帝国とファウンデーション、それぞれの夢がカルト化していくのか
舞台は変わって、ターミナス到着後のファウンデーション一団と、皇帝の世代交代やその背景を描いている。タイトル「亡霊」は何のことだろうと見ていくが最後まで説明はない。「亡霊」とは「初代の夢」のことだろう。銀河皇帝にとっての亡霊とはクレオン一世の夢であるスターブリッジの完成を象徴とした帝国の完成の野望だ。それを成し遂げた一世だが400年後の現在、その意志は明らかに希薄化が見られる。安定に安心しきり、緊張感がない宮殿。壁画を落とし過去のしきたりを毛嫌いする若き青年皇帝。事務的に暗黒死の儀式を進める愛のない表情のブラザーたちと動揺をが顔に滲むデマーゼルの対比に帝国の哀退が映る。「初代の夢」や伝統は時がたった今はただ厄介な「亡霊」に見られ、効率化だけが優先され慣性としての支配が進むだけ。それはファウンデーション一団も例外ではなく、セルダン博士が亡き今、サルヴァーの母が言うようにファウンデーションの理想はカルトや宗教のように見られ、カリスマだったセルダンはただの銅像になってしまっている。これはいいことなのか、悪いことの前兆にしかみられず次の回、嫌な予感しかしない。さらに、帝国には「予言」という亡霊にも悩まされる。
ガール、セルダン、レイチの謎
ファウンデーションの宇宙船移動中のセルダンの殺人事件はなんだったのか。行方不明になったレイチ、ガールの2人はどうなってしまったのか?そこは語られないままストーリーが進んでいくようだ。ここで謎をまとめて予測してみた。
謎まとめと勝手な予測(⚠️ネタバレ注意)
- セルダンは何かを予知し、それを回避するために「死を演出」したのではないだろうか?レイチもそれを知っていた。食堂での対立シーンはあまりにも唐突すぎで、2人の対立を演出していたのではないかと想像。セルダンの耳元からレイチが何か装置を外す(それとも付ける?)シーンあれはなんだ?生命トラッキング装置だとしたら、それを外した「生命停止警告」を流したレイチ(とセルダン)の芝居なのか?
- セルダン本人の流刑は予知外だと言っていた。つまり、セルダンは裁判で死刑になることが予言されていて、そのタイムライにそって計画が練られていたため、目的達成のためにセルダンは自死したのではないか。
- 飛ばされたガールは、アナクレオンなどの辺境惑星に救われている可能性。だとしたら、心理歴史学は辺境の惑星に継承され、それを武器に帝国崩壊を加速するのではないか。
- ガールはワープの「光のショー」を目撃している唯一の人類なので、心と体が分離され時空を超えた奇跡が今後起きる可能性。(⚠️ネタバレ注意:予告編「運命編」に、アンターベルト小惑星帯を宇宙服で漂流するガールのシーンが一瞬映るので、救命艇で放出されたガールは生存、どうなる?。
- ブラザーダレスの迷いは個人のものではなくクレオン1世も抱いていたことがプロローグでわかる。「絶対はない」とデマーゼルに不安を打ち明ける。
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第4話「野蛮族の来襲」
銀河の星々で皇帝の影響から離れようとする、原点回帰の流れが起き始めていることを、プロキシマオパル教祖の死でわかり始める皇帝。銀河の不安定化が進む帝国トランターの姿。一方、ターミナスにアナクレオンの生き残りたちがたどり着き、ナビ部品を探しにくるが、とても平和的に交渉できそうではなく危機に。
サルヴァーが見たアンター帝国図書館の幻像
サルヴァーが見た書庫の幻像は、過去、帝国図書館でアルバレスの希少本を盗みに忍び込んだ少年時代のレイチの姿。つまり彼女は「セルダンの目」をもつのか?それとも過去のデータが保存されている霊廟をサルヴァーが読んだのか、不明のまま物語は進む。
この回の要点
- 自分を失いかけているクレオン14世の悩みと、庭師への思い
- デイ、ダスクの確執とますます乱れるブラザー
- セルダン博士の予言取りに、辺境宗教に革命が起こりつつある。
- コイントスを読み取ったり、人の心を読むサルヴァーの特殊能力
- サルヴァーが見る幻像は何か
- サルヴァーとルイス・ピレンヌ理事長との確執
- 霊廟のバリアー(ヌルフィールド)が広がっている原因不明の現象
- アナクレオンの生き残りたちの目的(移民の星を探査と言っているが、真相は帝国へのテロだろう)
- 回収されるガールの救命艇(ヒューゴ同様に冬眠で年をとらずにいるのか?)
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第5話「目覚めの時」
トランターがでてこない回。過去のシンナックスでのガール家族の生活と、ガールが宇宙船に回収されてのサバイバルがほとんどで、ファウンデーション基地の進展は大きいが、とてもわずか。セルダン博士が疑問視していた「ガールがカーレーの書を手に入れる経緯が」この回でわかる。
石の刺青の経緯、数学を異端視する風習、異端者の処刑、など、シンナックスの文化が丁寧に描かれる回。
洪水前のシンナックスでガールが異端者になるまで
第一話のトランターでセルダン博士に「カーレーの書」をどこで手に入れたかを聞かれたガールは質問に答えなかった。第五話は過去。洪水前のシンナックスで、ガールが「カーレーの折りたたみ理論」の書物をどこで手に入れたか悲しい秘密と、ガールの両親やシンナックスの生活の詳細が描かれる。父は予言教の厳格な信者であり、トランターを「機械の星」と軽蔑視。過去にトランターはシンナックスを攻撃した歴史があったと他のセリフで聞いたことを考えると「反トランター」「反科学技術」「科学が不幸をもたらす」的な考えが父や村にあるはず。そんなトランターに招かれ、改宗した娘の「決意」に父から絶縁と告げられる家庭崩壊シーンや、四面楚歌のガールに届くセルダン博士の手紙を読むみ心が救われる感動的な姿、そして、「一緒にトランターへ行こう」と両親を誘った理由(=海面上昇で両親の命が危ないから)。今まで語られなかったガールの故郷の複雑に入り組んだ文化とガールの心の変化が丁寧に感動的に描かれている。第五話はシンナックスの場面が一番いい。
ソーン先生の死刑シーンとガールの盗掘場面は特に興味深いシーンだ。中世時代にガリレオガリレイが宗教裁判で「それでも地球は回っている」と呟いたとされる宇宙図鑑おなじみのエピソードや、レオナルドダビンチが人体の構造を知るために墓場を荒らして骨を集めていたエピソードを思い出させ、科学好き・歴史好きの視聴者は特にグっとくる場面だろう。
「カーレー」の難問を解いたガールはセルダンの客員教授に誘われたことで名が広まり、異端者としての処刑は世論を背景に不可能になった事情も伝わる(この点、言葉やシーンで具体的に伝えてないが)。ガールが第一話で「命をかけてトランターへ来たのに」とセルダン博士を責めるシーンがありオーバーな言葉だなと感じたが、実際家族を巻き添えもあり得るほどの命を賭けた数学オリンピックだったことがドラマで描かれいて感動的だ。
アナクレオンの侵入
ついにアナクレオンがターミナスのファウンデーション基地に侵入。ダスクに調査を命じられた帝国ジャンプポッドは砲台の攻撃であっけなく迎撃。多くの死者が出ている絶望的なファウンデーション基地。
救命ポッドがレイチ船に帰還しガール生存
レイチ所有の無人宇宙船に回収され35年ほどの眠りからさめるガール。ナイフが認証センサーがあり、ドアが開く。「事件」の後、レイチが処刑にあったことや、その遺言(セルダン計画を信じろ)の記録を引き出し、絶望するガールに「世界は循環する。破壊の後は再生がある。知識は生き残り再生を引き出す」と訴えるソーン先生の記憶が蘇る。宇宙船はセルダン博士の母星に向かっていることを、口の硬いAIの情報をヒントに数学と知識で割り出す彼女の前に突然セルダン博士のAR映像が投影され終幕。
この回の謎と勝手な妄想
- セルダン博士のAR映像はなんだったのか(いつもの砂のような粒状感がなく、解像度が高いのはなぜ?。粒のないあのタイプの幻像はサルヴァーと共通している、ということは霊廟と関係か?)
- おそらく次の回は霊廟のヌルフィールドで、ターミナスは助けられるのではないか?
- サルヴァーの母がファラの人質となったとき、サルヴァーは躊躇なく攻撃したあと母が呆然となるシーンが気になる。もしかして、サルヴァーは実の子でなく、保管されていたガールの胚から生まれたレイチの子ではないか?
- 「棺はセルダン博士本人が設計した」とわざわざセリフがある。ということは、博士は、生命維持装置(2話でデマーゼルがジアム・グアルバーの首に取り付け拷問で使ったシーンがある)を使い、ガールと同じ惑星リコンに向かっている可能性?生存もあり得る。
- ファラカイーンの言葉「セルダンが未来を予言して煽ったから我々が滅亡させられた」とあるが、だとしたら、未来予知自体が未来に干渉し、時の流れに影響してしまう。つまり予言どおりにするためには予言内容を伝搬してはならないということか。すでにセルダンの予測から外れているのではないか。ガールの言っていた「埋まっていないピース」とはそのことか。
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第6話「再生と死」
この回では、ルミナス教について詳しい背景が丁寧に描かれ、帝国が敷いていた長い平和の裏で蓄積していた「停滞」とその鬱憤が帝国の目の前で皮肉たっぷりに披露されて面白い。宗教と聞いてカルト視し、塩分濾過の巨大インフラ(全月域脱塩システム)支援で簡単に傀儡政権を維持できると目論むも、原点回帰運動への指示は予想以上で、帝国への不満を強く感じさせる。何が「停滞」しているのか、今後の回で停滞そのもの姿を描いてくれればより面白くなるのだが。ドラマを見る限り停滞とは、何かが救済されていないようだ。魂の救済。皇帝には無いとこの宗教で伝えられている魂とは何か。デマーゼルはないと自覚している魂。霊的なもの?サルヴァーのような直感?魂の正体をルミナス教は今後示してくれるのだろうか。期待が上がる。
衛星メイデンのルミナス教とオパルが伝える「プライマリーオクターヴォ(原点回帰運動)」の詳細を伝える話。前回ラストで気になるガールドーニックの宇宙船はこの回では登場なし。悩めるクレオン14世の秘密とオディリとの関係その後。
レイチ殺人の真実
サルヴァーの幻像がさらに具体化され現れる。その内容によると、レイチ殺人はセルダン博士による計画だった。この点も想像通りだが、当初はレイチがポットで宇宙に放出される予定だったようだ。なぜレイチが残ったのか、その謎はレイチが処刑されている今なにも証明はないが、何らかの追加メッセージがドラマの進行上に現れるのかもしれない。
それに、サルヴァーの幻像はセルダン視点ではなく、空間をそのものを記憶している。が、「ガール視点」FPVになってもいる。霊廟の力とはいったいなんなのか謎が深まる。
皇帝が恐れる危険思想「プライマリー・オクターヴォ」
歴史上、時代の節目というのが必ずある。その節目では、利潤優先、権力優先では乗り越えられない、人道的、道徳的な決断を時の指導者は迫られる。その時、平時のようなビジネス優先や、既得権益や富裕層優先の新自由主義的な決断、遺伝的に上下を決める優生学的な選択を時の権力者がした時、停滞が起きる。変化を恐れず受け入れ、違いにこそ価値を見いだし、革新しつづけようとすることこそ「進化」。そんな、ルミナス教が伝える「プライマリー・オクターヴォ(原点回帰運動)」の言葉にハっとさせられる。ディマーゼルの心の変化を一度に追体験できる面白い展開だ。彼女は変化を望んでいる。変化を恐れていたのは皇帝だけであった。デイは変化できない存在であり、ハリマ演説の前ではすっかりメッキが剥がれ落ちた裸の王様。一方、クレオン14世の青年は変化を望んでいるように見える。このバランスが今後どう衝突するかが見どころでワクワクする。「原点回帰運動」は「原理主義運動」を連想させる。ニュースだけを見るとネガティブな印象がつけられている言葉だが、それはその運動を統制し西洋化したい視点ので感情であり、支配される視点にたつと独立運動といえる。途上国や西洋化していない国に人権や女性差別、独裁を口実にして政治、軍事介入するのは支配する側のお決まりの手段と思う。皇帝はメイデンの塩分汚染を利用し、インフラなどの経済支援で帝国へ依存度を高めさせ支配していたようだが、まったく、今の世間とおなじだ。
ゆっくりメッキが剥がれていく帝国
まさに今の地球、2021年のがその状態だからだろう。インターネットとスマートフォンが世界のゲームルールをガラッと変えてしまった。トランプ現象、議会占拠騒動、高齢の大統領、アフガン撤退、国際機関からの脱退、理不尽な経済制裁、疫病蔓延を止められない大都市の姿、かつて大国だった国々が目の前で混乱してる姿がテレビで大きく報じられている。中国が経済的に大きな影響力を持ち始め、インド、アフリカ等かつて貧困だった第三国も台頭。日本も平均所得で韓国や中国に超えられ数年たっている。なぜこうなったのか。いつからこうなったのか。どこで間違えたのか。停滞。変化や多様性を恐れ、永遠に続くと思っていた何かに安泰していなかったか。
ロボットにとっての魂
ルミナス教原点の言葉を借りるならば「魂がない存在」として皇帝とデマーゼルの両者は一致していると言える。その2人は同じもの同士であることを、メイデンまでの旅の途中で探り合う場面。皇帝は「目的」を重要視する言葉を投げ、デマーゼルの返事は生きる目的が皇帝を支えることとしながら、それはプログラミングであって、アルゴリズムがなくても「存在である我は意味を持ちたい」というニュアンスの願望を彼女が伝えるシーン。アシモフの小説で「我はロボット」を連想させる。何か意味を持ちたいという感情や、夢を抱く感情、これを魂と呼ぶのだろうか。自分にないはずの魂を望もうとする、その心から魂が生まれるという奇跡の循環が起こる気がして面白い。そうだとしたら、人間とロボットの差にはなにもない。青年クレオン14世の苦しい葛藤の先には「魂」が宿るだろう。そうなったらルミナスの教えに綻びが生じる。どうなる。あいかわらず話が逸れまくっているのでまとめよう「魂」とは「自我」だ。おそらく次回は自我を失った皇帝の姿が描かれるだろう。
ハリマの演説がヒントに
オパル葬儀のなかで帝国の傀儡ギラットをハリマが遮った演説が、「プライマリーオクターヴォ(原点回帰運動)」と「魂」のヒントになる。長いので言葉を要約した。
- 人は成長すべき存在
- 無知では魂は問題を越えられない
- 魂=神聖なものになることが目標
- 魂は発展し、その可能性は無限
- クレオン1世には神聖な魂があった
- 「変化」すべきで、受け入れるべき
- 「進化」と「違い」を受け入れるべき
- 「停滞」こそ最も大きな罪である
- 死んでも魂は残り、進化する(クローン王朝は代々消され何も残らない)
- 魂は一つの体に縛られない
- 今を生きよ
こう、要約を眺めると、魂とは数学にも当てはまる。はやり一体化するのか。ルミナス教の教義は原作版では深く描いていないようだ。ということはこの教義はAppleTV版のアレンジということになるが、現代と共通の問題がとても現れていて面白い。
塩を消費した長い先に、3柱が一つとなるとんでもないことが起こるとでもいうのだろうか。色々想像できて面白い。
がっかりな点
アナクレオンのガンシップ3隻を地熱発電所の真上にわざわざ停泊させているのは何なのか。充電?。おかしすぎる。あのシーンはアナクレオン一団をヒューゴ船に無理やり乗せるためか、ターミナス場面を伸ばすためにに作った話だろうか。サルヴァーが捕まったり解放されたり、忙しくて不自然だ。
この回の謎やポイント
- デマーゼルがルミナス教の教義についての説明のなかにあった「グレートスパイラル(壮大な渦)」とは何か。(更新:これはこの教団の渦巻き状の巡礼地を指していて、中央にマザーの子宮と言われる泉がある。)
- 夫アッパスの死を知ったマリに心の変化があるのか。サルヴァーを疑っていないか。
- 皇帝デイがジャンプを初体験したが、魂がないとされる彼にどんな影響があるのか、あるいはないのか。
- デマーゼルまでハリマに共鳴し四面楚歌の皇帝デイはすっかり裸の王様。あの後、精神が壊れるのではないか。
- 皇帝ドーンが鳥狩で戦利品を隠した理由は、色覚異常がバレてしまうからだろうか。それが諜報部シャドウマスターに見つかったらどうなるのか。狩の付き人ロムスが処刑されないか心配。シャドウマスターは光学迷彩で普段透明人間になっていた。
- 発見された幽霊船「インビクタス」はどれほど強力なの駆逐艦なのか。
- 青年ドーンと庭師オディリの間に子が宿った場合、どうなるのか。魂の再生はあるのか。そもそも許されるのか。処刑されないか心配。
- ファラはヒューゴ船にアンターベルト小惑星帯に行くよう指示するが、そこはガールがポットで放出された小惑星群の場所ではないか?もしかして、次回めぐり会うのか。
- はやり「レイチ殺人」はセルダン博士による計画で、当初の予定ではレイチが船から出る予定だった。それがガールが出てしまった理由は謎。おそらくレイチに何らかの理由があった?レイチは結果的に、セルダンが「彼女を巻き込むな」と禁じた事を犯したのか?
- 「①レイチとガールが一緒にいてはダメ」「②レイチが船にいてはダメ」この2条件は予言にどう悪影響があるのだろうか謎。
第7話「殉教者の秘密」
セルダン計画の狂いが、想定外の秘密と共に明かされ、青年皇帝ドーンは宮廷外への逃亡を計画し、皇帝デイは無謀な「グレートスパイラル」巡礼でハリマ対決の逆転を狙う。物語の歯車が一気に回り出す回。
帝国はインビクタスというデススターのような巨大兵器で銀河中の惑星を脅し、暴力で統治してきたことがわかる。つくづく野蛮な帝国であった。
この回のポイント
- AI化されたセルダンのデジタル意識のARによって、計画の全容が明かされる。
- 当初の計画では、ガールらファウンデーション一団はターミナスに送られ、セルダンとレイチがヘリコンに向かう計画だった。
- ガールの予知能力がはっきりする。その能力で歴史心理学の予知に狂いが生まれた。
- 青年皇帝ドーンとオディーリは結ばれ、宮殿外への逃亡を計画しはじめる。
- 皇帝デイはハリマ尊師と決定的な亀裂を作り、「グレートスパイラル」巡礼をすることで一気に巻き返えそうと計画
第8話「足りないピース」
トランターの青年皇帝ブラザードーンの場面がない回。サルヴァーを載せたインビクタスはジャンプを開始。ブラザーデイはグレートスパイラルの巡教に成功。皇帝の「策略」が成功するが。
サルヴァーとインビクタス
生き残った少女ファラは戦士になるよう教育され、総狩猟部隊司令官(グランドハントレス)になり、すでに宣告された余命以上に生きている幸運をもつ。森の神が復讐を果たすまで不死身でいられるようにしているとの伝説を信じている。不死身、インビクタス、この二つは神からの恵みと信じている。帝国を滅ぼすことを使命としている。
トランターを滅ぼせば(つまりこれは銀河を滅ぼすことになる)ファウンデーションと母親を殺さない、とファラがサルヴァーに口約束を交わす。艦橋に辿り着き「EXO(副館長?外宇宙?)」という艦長のダイイングメッセージを発見。艦橋をジャックできたサルヴァーとルイスは船をターミナスにジャンプするよう計画するが、旧式のジャンプシステムではスペーサー(亜空間を制御するAI)の操作を、亜空間耐性をもつよう遺伝子操作された生身の人間で制御されており、それを制御する者は死んでしまうとルイスは警告。サルヴァーは「外れ値」である自分の役目だと告げ、ジャンプに全人生をかける決意をするが、艦橋にファラ侵入されルイスは撃たれ、格闘中にジャンプが起動、サルヴァー以外は全員気絶。
ターミナスのアナクレオンと人質たち
ターミナスでは霊廟のヌルフィールドがさらに広がり、基地からさらに遠ざかるか、あるいはシールド装置を再起動するか、決断に迫られるアナクレオン。
ガールとAI意識化セルダン博士
第二ファウンデーションの計画がヘリコンにあることを告げられるガール。第二はターミナスの住民にも知らされていない、セルダンとレイチだけが知っていた秘密の計画だった。が、レイチはガールの寿命を伸ばすために自分が犠牲になったようだ。これ以上人に運命を左右されたくないガールは船からポットに乗りターミナスに帰ることを決意。ポットの計算では目的地に着くまで138年かかり、その時代にはもちろん両親はおらず、海面上昇で人類が絶滅したターミナスが待っているだけなのだが、レイチのいないガールにとってにはもう自暴自棄になっているのかファウンデーション計画はどうでもよく、生きる目的を失ってしまった。
「例えピースが欠けていても計画を信じろ」というレイチの言葉は結局ガールに届かず、引き裂かれてしまった。これを視聴者はどう受け止めるべきなのか。ガールは計画に永遠に戻らないのか。それとも、ターミナスに保管されているであろう、レイチの子を宿したガールの胚に何か希望が託されるのか。シーズン1を通して流れていたガールのナレーションは、この脱出ポット138年の中での呟きなのか。また一つピースが欠けてしまうのか。
日本で育った者からみると、ここでのガールの主張はとても感情的、個人的で、セルダン博士の言う通りパニックになっているように見える。個人的行動がヒーロー視されたり美化されることがおおい欧米やアメリカの文化的視点からみると、ガールの行動はもっともな感情として目に映るのだろうか。特に自己犠牲が描かれがちなSFやファンタジーで、、銀河の存続という超巨大規模な運命を背負っている緊急時に、「個の尊重」と「銀河の運命」を天秤にかけるガールvsセルダンのパートは、見る人にとって賛否があるだろう。
皇帝とグレートスパイラル
170キロの巡礼の旅にでる皇帝。辿り着けるのは巡礼者の半分。出発前のブリーフィングでデマーゼルは巡礼を「策略」と表現していたのことから、初めから嘘の啓示(ビジョン)を練っていたことがわかる。グレートスパイラルへの巡礼がはじまり、道中に皇帝はバルタロス星出身であることが他の巡礼者の老人(ニシャヤ:ものづくりの星で、皇帝が好む特殊な釉薬=ウワグスリを作る星らしい)との会話でわかる。途中で力尽きたニシャヤの老人を丁重に葬った皇帝はついに「マザーの子宮」の泉に辿り着き、洞窟の塩が頭上で3枚の花びらを形作ったことをルミナスの老尊師に告げる。ルミナス教に代々語られている「延齢草の神話(ドールがスーラに衝突し3つの月ができたとき、メイデンは延齢草で覆われたこと。これをルミナス教では命を育む場所にメイデンを選び授けたという啓示のシンボルであり、のちに居住の理由とされる。ルミナスのマークも三つ葉形。のちに延齢草は絶滅し数千年見たものはいない)」にちなみ、神聖な啓示として皇帝はルミナス信者たちに崇められることになる。皇帝自身も「ブラザー」の三人と三柱を関連付け、ハリマにドヤ顔で勝利宣言。メイデンを去る前、デマーゼルはハリマに会いに行くが、その場面でハリマはメイデン塩のブレスレット(これはキリスト教の十字架のようなもの)を外し(退教?)生まれ故郷の惑星に帰ることを告げる。
デマーゼル巡教の過去
この会話のなかで、デマーゼルがグレートスパイラル巡教をしたのが1万1千年前だったこと、クレオンが銀河系に現存一台のAIロボットを所有していること、皇帝の指示でハリマに会いに(暗殺しに)きたことを知る。デマーゼルがアシモフの三原則を持っているかどうかはネットで度々論議されているが、二話ですでにデマーゼルはナノテク工場の責任者に発砲し拷問しており、三原則はこのドラマで既に突破されているようだ。
最後のデマーゼルの謎めいた言葉。デマーゼルは1万1千年前の巡礼で延齢草の啓示を受け、人生が変わった。そのために古代の延齢草を部屋のオブジェに置いていた。つまり、デマーゼルにこそ、皇帝が受けたという啓示の対象者であり、1万年前に神聖な存在とされたということだ。これはAIロボットの種族が皇帝に滅ぼされたことと関係しているのではないだろうか。
この回のポイント
- 皇帝には魂がない。はっきりした。賢者を演じ切り、サイコパス的でもある。が、動揺も。
- ルミナス教3兆の信者にとっては皇帝は神聖な存在となり認められた(セルダン予想と矛盾?)
- 「皇帝に魂がない事実」「皇帝に魂がない、とする政治家の失脚」この銀河級ねじれ現象が帝国にどう影響するのか。
- デマーゼルはロボットでありながら人間を暗殺できる(アシモフ原作と矛盾するのか、それともこのドラマではデマーゼルのような「AIロボット」と「ロボット」を分けているのか?)
- デマーゼルは「神聖な存在」として古代巡教で認められている。これは7話のハリマ演説「魂は神聖なものになることが目標」の言葉に当てはめると「デマーゼルは魂を持ち、生まれ変われる」ということになる。つまり、プライマリーオクターヴォの教義からみると、デマーゼルは魂がある(=人間)と定義される。魂にこだわるデマーゼルがルミナス教に傾倒する理由はこれか。
- デマーゼルのロボット種族は過去、帝国に絶滅させられている。「神聖」とされたことに関連するのか?
- ターミナスでは霊廟のヌルフィール拡大でシールド起動するか決断を迫られるアナクレオン。
- ガールは制御されること、コマとして扱われること、秘密にされること、などを嫌悪し、人生を自分でコントロールすることにこだわり、セルダン計画とターミナスから離脱。レイチとセルダンなき計画から人生の目的を失う。
- レイチの言葉「例えピースが欠けていても」のピースとは、恐らくレイチ自身のことだろう。
- インビクタスはジャンプをスタート。霊廟の亜空間に耐えられるサルヴァーはジャンプの亜空間に耐えられるのか。そしてジャンプ先を制御できるスペーサーになれるのか。
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第9話「試される未来」
「外れ値」と言われ続けていいたサルヴァー個人の役割がはっきりし、ターミナスにさまざまな役者たちが集結、問題が一気に前進する回。
インビクタスのサルヴァー
ルイス・ピレンヌ理事長の犠牲でターミナスに無事ジャンプし、生まれ持つ亜空間耐性で気絶せずに済んだサルヴァーは、アナクレオン族を拘束、貨物船ベガに乗船しヒューゴとも再会。サルヴァーはターミナス地上の基地と母のところへ向かい、ヒューゴはインビクタスへ。
ターミナス基地にたどり着いたサルヴァーは、脱出が遅れ気絶している基地住人とアナクレオン軍たちの先にある霊廟へと向かうが、隙をついてインビクタスから逃げたファラは、セスピスの戦闘艇を奪いターミナスへ向かう。
ヌルフィールドの中心へ
霊廟の前ではサルヴァーの母マリが「プライムレイディアント(基本輻射体)」を持ちながら気絶していた。ひざまづいたサルヴァーは瞑想に入り様々な思い出と直感だけで輻射体を開こうとする(彼女は開き方を知らない)。一瞬コインと一体化したサルヴァーの精神は宇宙時間を漂いガールの記憶にシンクロしかと思うと、自然に体が動き輻射体をオープン。霊廟の扉が開く。(一見なんの役にも立たなかった無駄なコイントスの特技が、やっと身を結ぶこのシーンは鳥肌がたつ。Apple創業者だったSジョブズが、かつて大学の卒業式の「どんな無駄なことでも執着し続ければ、点と点が結ばれる実を結ぶ時が来る」感動的なスピーチという言葉を思い出すからだろうか)
ファラの逆上と開く霊廟
ヒューゴとセスピス人からインビクタスを追われたファラは、セスピスたちから船を奪いターミナスへ向かう。霊廟が開き、セスピスの戦闘艇に囲まれたアナクレオン地上舞台は万事休すと思いきや、同じ戦闘艇に乗ったファラが現れ形勢逆転し、ファラは霊廟に主砲を乱射する。目的を失い、感情的で無益な行動に走るファラに両者視線が集中する隙をつかれ、サルヴァーが放ったラーケンカインの矢で喉を撃ち抜かれる。ファラの死の直後、霊廟が開き、セルダン博士が現れ、驚く。
クレオン14世とオディーリの逃亡
オディーリから、被災地(スカー)への逃走経路を聞いた青年皇帝クレオン14世(ブラザードーン)だが、ダスクから授かったラプトル狩の壁画だが、色弱な彼を試す隠し絵の罠だったことに気づいたドーンはその場で(計画より1日早い)脱出を図る。自由と恋心を胸に、被災地33層のオーディリ宅を目指すドーンを待っていたのはいつもと雰囲気が違う彼女。脱出成功の喜びも束の間、オーディリの影からもう一人のドーンが現れ拘束される。
遺伝子操作されていたクレオン14世
クレオン14世は1世の素質が正しく遺伝されないように「磁性ナノ粒子トランスフェクション」という遺伝子操作をされ、入れ替わりとして帝国転覆を目論む多種族構成の革命組織が地下で育てていたクレオン2世クローンを用意していた。ナノボット入れ替えが終わり用済みとなった14世は、地下組織に殺される直前にブラザーダスクに救出され、オーディリは逮捕、革命組織は射殺、2世クローンは光学迷彩のシャドウに喉を斬られる。14世の運命はメイデンから間も無く帰還するブラザーデイ(メンタル崩壊中)に託されることに。
この回の謎
- セルダン博士はAIなのか、本物なのか(たぶん、ヘリコンの霊廟から届いたデジタル意識AIだろう)
- 総司令官を失ったアナクレオン、セスピス、ターミナス、この3者は手をむずぶのか?
- クレオン14世(青年ブラザードーン)は処刑され砂になるのか?(砂の処刑になるとしたら、どのみち人生最後は砂処刑ではないか)
- 魂がないと悟ったクレオン13世(中年ブラザーデイ)はトランターに帰還し、何をするのか。ダスクとの確執は?
- デマーゼルは、バラバラになった遺伝王朝をどうするのか?
- クレオン遺伝王朝のシンボルマークもそうだが、インビクタス号の内装も「十字架」のような装飾や窓格子、照明が目立つ。このドラマは、過去の十字軍や聖戦への風刺や揶揄、意味付けをしているのか。
- ガールの言葉「歴史とは物語で、悪が正義に、正義が悪にもなる」「残す者によって書き換えられる」「私にとってこれが歴史である」といった内容のナレーションが謎めいている。このドラマはガール視点の物語ということを指しているのだろうが、この回の終盤でセルダンが登場し、ガールとの確執はなかったことになり公式の歴史では伏せられるという意味か。だとしたらガールは歴史から突然消え、ファウンデーション集団は何もなかったようにそれを受け入れるのだと。(次回最終回のターミナス?でガールがどうなるかによるが)
- ターミナスは霊廟から第二ファウンデーションに移るのか
第10話「飛躍」
冒頭ガールの詩
謎めいているガールのナレーションが一度読んだだけではわかりにくいので、ここに残した。
眠ることは、神を信じる賭けのようなもので、魂は寝ている間に彷徨う。祈りによって、目覚めた時に魂は帰ってこられる。ゆりかごから出ることも、故郷を離れることも、同じく賭けだ。船出という旅にでて虚空に向かって賭けにでる者もいる。宇宙にメッセージを送り、誰かが応えてほしいと願う。安全な港があることを祈りながら。飛び出した先に、時に誰かが迎えてくれることもある。
第10話冒頭ガールの詩
アナクレオン対セスピス対立の歴史「最初の裏切り」
セスピスとアナクレオンは遠い過去、リーダー同士(セスピス王とアナクレオン女猟兵)の婚姻で結ばれていた過去があった。アナクレオンの歴史では、セスピス王が婚礼の夜に泥酔し初夜に女猟兵の喉を切り殺したという伝説はアナクレオンの侍女が唯一の目撃者でその証言が「歴史」として皆が認識していた。セスピスは侍女の証言は嘘と捉えている。だが、セルダン博士によると、侍女は死の直前「クレオン2世」が真犯人と告白していた。つまり、初のクローン皇帝の計画された策略だったということ。目的は、辺境2惑星の同盟の芽を潰すため。シャドウ(諜報部)で侍女を丸め込み女猟兵を殺し、王に罪を着せたという。つまり、殺したのは侍女で黒幕は帝国。互いに戦争してくれたほうが皇帝にとっては都合が良い。
革命家セルダン?
「最初の裏切り」の伝説が陰謀だったことを伝えたセルダンは、我々のスキルでインビクタスを増やし、セスピス、アナクレオン、ターミナスの3者同盟を訴える。これは「銀河百科事典」をつくるというファウンデーションの使命を逸脱している武力行為であることに気づいたセルダン計画のメンバーは「あなたは革命家なのか」とセルダンに迫ると、博士は否定しなかった。ファウンデーション計画は反乱軍を作ることなのか。マリのこと問いに「ファウンデーションの目的は知識の保存ではなく、人材の収集にある。帝国の価値観しか認めないいまの遺伝王朝に多様性のないことで人類の絶滅を予見した。ここには第1話の予知と違う点がある、テロや宗教からの圧力で帝国が崩壊するのではなく、多様性ない政治が進化を止め停滞し人類を滅ぼすという点。
巨大フレア偽造
インビクタスが作る亜空間で恒星の巨大フレアを演出することで、ターミナスが宇宙線被曝し絶滅したと帝国を騙す計画が実行され、ターミナスはベトナム密林地帯のように隠れやすい場所になった。そこで体勢を整えようとする三者。
ガールとレイチの胚から生まれたサルヴァー
デリバランス号時代に保存されたガールとレイチの受精卵はカプセルに冷凍保存され、宇宙線などの放射能汚染度が高い宇宙船内での出産は禁止されていた。その胚をドナーとして受け取ったのはサルヴァーの母親マリであった。サルヴァーはガールの受精卵で育てられた養子だったのだ。
シンナックスに向かうサルヴァー
ターミナスの選挙で、首長になることはほぼ確実だったものの、今までの啓示の内容から母であるガールと会うことを自分の使命であると感じたサルヴァーは、母とも恋人ヒューゴとも別れをつげ、ベガーに乗ってシンナックスへ向かう。
クレオン14世の処刑
遺伝子操作されていた青年皇帝ブラザードーンの始末をどうするのかの話し合いの場、ブラザーデイに心の変化を吐露しはじめる。デイは「しなることのできない固い枝は折れる」というセルダン博士の言葉を持ちだし、メイデンまでの道中でさまざまな心の変化があったことを述べ、完璧ではない事も大事であるとのニュアンスで語りドーンを許し教訓として強くなろうとブラザーらに諭す。いままでになかった人間臭い言葉に激高したのはダスクで、彼を殴り始めたところで、デマーゼルが目の前でドーンを殺害。遺伝王朝を永遠に続けようとするプログラムが働き、迷い実行されないブラザーの処分に優先して処刑が完了した。シャドウの報告によると、クレオン1世の時代から遺伝子操作は行われており、遺伝王朝の存在意義はなくなっていることがわかったデイ皇帝は初代クレオンの棺を壊す。一方、冷淡に処置を行い終えたデマーゼルだが、個室に戻ると、矛盾に満ちたブログラムで自らの精神が病み始める。帝国は外縁や宗教の反乱によってではなく、自らの内部矛盾と失われたアイデンティティーよって心から崩壊しはじめていた。
この回の謎
- ブラザーデイが完全にいい男になって帰ってきた点。涙のない葬儀の間で初めて泣く。(魂がうまれたのか?)
- ガールとサルヴァーの出会いで何が起こるのか?(ガールの財団復帰?)
- サルヴァーが乗って行った宇宙線ベガーはジャンプできたのか?あるいはジャンプシップに乗り換えたのか?どうやってガールを追い越せた?
- ガールとサルヴァーの予知能力は、シンナックスの宗教「眠れる者」を信仰する予言教会と何らかの関係が?(だとしたら、数学者を異端だとしてシンナックスを追放されたガールの皮肉に満ちた運命)
- サルヴァーが見たビジョンの正体は、ガールがジャンプ中に目覚め、体から飛び出し亜空間を彷徨っていた精神を、サルヴァーが見たのではないか。
ファウンデーション名言集
このドラマにはグッとくる名言、歴史的な金言が散りばめられていてグッとくる。中には独裁者の言葉も引用されている。一覧にしました。
- 芸術とは政治を受け入れやすくしたものだ(ブラザーデイ)
- 権力者にとっては変化は恐ろしいものだ(ハリ・セルダン)
- 一つの星だけでなく銀河系を救わないか?(ハリ・セルダン)
- 嘘も繰り返し言い続ければ本当になろう(ブラザーデイ)
- 暴力は卑怯者の最後の砦(アッパス・ハーディン)
- 拳を開け、風に逆らうな(アッパス・ハーディン)
- 被災地は帝国にとって失敗でも、民にとっては希望です(アズーラ・オディーリ)
- 歴史とは、過去が未来を変えられる比類なき発明だ。(ガール・ドーニック)
- しなることのできない固い枝は折れるしかない。(ブラザーデイ)
AppleTVへの登録
AppleTVはアップル社が配信しているサブスク映画コンテンツで、ネトフリのようなもの。ファウンデーションの一話だけなら未登録でも無料で視聴できるし、登録すれば1週間くらいは無料で視聴できるので、1週間で全話みて解約する方法も裏技としてできるかもしれない。