ギーガーの世界観そのもの
ポケモンがもし現実にいたなら、こんなおぞましい進化や配合になるのだろうか。
書店で「ギーガー・エイリアン」という画集を開いた方はいるでしょうか?。この映画「プロメテウス」はスペースジョッキー周辺にしかなかったギーガー世界を全面に散りばめた、後味悪い内容でありながら、ハッキリ答えを示さない謎だらけで、劇中、意味ありげな暗号や暗示が散りばめられた、ミステリー好きには楽しめる内容。
ここでは、原作の「エイリアン」とは別作品としている面を中心に、個人的な妄想だけを裏付けに謎を掘り下げてみた。
以下、ネタバレばかりなのでご注意を。
映画の中の謎一覧
- 黒い液体、あれは何なのか?(遺伝子をリセットするウイルス?)
- 冒頭の滝シーンはなんだったのか?(処刑?人体実験?それとも本当のアダムとイブ?)
- エンジニアの目的は何だったのか?(船長の言う通りただの科学実験? 或は神様?)
- 巨大な顔面型石像、宗教画?のあった部屋は何だったのか?(教会?)
- 宗教画中心にいた「神」の像をエンジニアは信仰しているのか?(エイリアンにしか見えないが?)
- あの巨大ドームの上階のループ状の施設は何だったのか?(回転加速器?)
- ドームの上部がドクロ?
- 宇宙船はどこに飛び立ったのか?(地球? なぜ? 何故人類絶滅させる必要が? ウイルスに欠陥が?)
- スペースジョッキーは何だったのか?(宇宙船のコクピット? 超ひも理論をベースにした時間旅行ポッド?)
- シャーリーズセロンはアンドロイドなのか?(ブレードランナー的な解釈が広げられる表情)
- デヴィットは何故黒い液体をホロウェイに含んだのか?
- ファーストコンタクト時、エンジニアは何故発狂したのか?(「永遠に生きるのが神」と伝えたウェイランドに対する回答?)
映画でわかった事
- 旧作エイリアン群は遺伝子暴走したモンスターの一部にすぎない
- 黒い液体に触れると進化暴走する
- 劇中で神とは遺伝子をコントロール出来る存在
- 宇宙中の生き物は同じ遺伝子(エンジニア自身も)
仮説
- 巨大石像の顔、あれはデヴィットでは?(劇中登場する「切断頭部」類はすべてデヴィットでは? 「死なないのが神」の会話のとおり、頭部切断されても死んでいない彼は、次回作でエンジニアの神となる?)
- とすると、スペースジョッキーは時間旅行ができ、次回作で未来と過去の時間軸が繋がる。
- シャーリーズセロンはアンドロイドでは?(「ウェイランド=親」とインプットされ自分がレプリと気付いていないレイチェル型。終盤、自分だけが脱出し、メンバーとして一見オーバーな行動に出てしまう点、ロボット三原則の防衛プログラムが働いた。)
- クルーの「入れ墨モヒカン男」はアンドロイドである(硫酸で顔が溶けたシーンで、金属製の鼻骨部品がチラ見えする)
ギーガーが見せるアメーバ的メタファー
書店で「ギーガー・エイリアン」という画集を初めて開いた時の不安感、特に、くるひもくるひも淘汰と交配を繰り返すアメーバな点だけが人間の性(さが)であって、その他の事(音楽、美術、芸術だとか、経済、人間の文化活動の一式)は全て、生物的目的を円滑に果たすための潤滑油に過ぎない、といったニュアンス。太宰治の小説「斜陽」の主人公が言う印象深いセリフを読んだときと同じ悲壮感が襲い掛かる。
「この世の中に、戦争だの平和だの貿易だの組合だの政治だのがあるのは、なんのためだか、このごろ私にもわかって来ました。あなたは、ご存じないでしょう。だから、いつまでも不幸なのですわ。それはね、教えてあげますわ、女がよい子を生むためです。」
この映画「プロメテウス」もそういった絶望的な進化観を背景に進む、後味悪い内容でありながら、ハッキリ答えを示さない謎だらけで、劇中、意味ありげな暗号や暗示が散りばめられた、ミステリー好きには楽しめる内容ではあったが…。
次々登場し、妄想を刺激する見るにおぞましいギーガー的美術
- 教会セットが、アレに見えてしまう;
- 手術で摘出されたモンスターがイカ型な理由はアレがアレだから;
- ドームがアレに見える;
- チェストバスターのアレがアレに見えてしまう;
- 旧作フェイスハガーのアレがアレだったから、巨大フェイスハガーのアレはアレのアレ?;
- スペースジョッキーの化石をよく見ると、まさか、なんで?と思う点
- ギーガーの世界観そのものがアレのメタファーなんですからしょうがないか;
面白かったレビュー
ギーガーの元ネタ?
ギーガーの元ネタかと思ったが、ギーガーよりだいぶ先の2003年にアメリカのMarcelo Bordeseによって描かれた絵画「Leda」。ギーガーの世界そっくりだ。このようにギーガーの絵はたくさんの芸術家に影響を与えた。