COPYTRACKから無断転載画像で高額請求のランサムウェア手法を受けた話

2023年11月、CopyTrackというドイツ企業から「おたくのブログで画像を無断使用している。私たちはその画像の作者の代理人で、あなたに合計700ユーロ(日本円で10万円程度)を請求できる」との警告メールが突然とどいた。

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COPYTRACKとは

ブログなどで無断転載された画像を相手に訴え、使用料を請求するサイトで最近事例が増えているらしい。検索すると訴えられたり、逆に訴えたりする経験談が綴られているブログをいくつか見ることができる。

ランサムウェアに利用する悪質な事例

正しく使っていればいいのだが、これを自分の画像でもないのに根拠もなく登録し、相手を訴えランサムウェア化する事例起り、まさに自分がそうなったということだ。その顛末をこのブログでまとめました。

COPUTRACKから突然の警告メール

メールの内容をスクショにして貼りました。念の為テキストも直下にペーストしています。

COPYTRACKからのメール
COPYTRACKからのメール

無断転載画像ケースID:〇〇〇〇〇〇
2023/11/〇〇
ご担当者様,
突然のご連絡で申し訳ございません。COPYTRACKはライセンスおよび著作権エージェントとして、弊社の顧客であるFederico Caputo様に代わりご連絡をしております。 著作権者の方は〇〇〇〇〇様が画像を無断で使用していることを発見し〇〇〇〇〇様との本件に関する無断転載対応を弊社に独占的に依頼しております。 こちらのご連絡前に画像を削除した場合でも、ライセンス費用をお支払い頂く必要がございます。
お手数をおかけ致しますが、協力弁護士に連絡前の2023/11/〇〇までに、ライセンスが証明できる書類のご提示をお願い致します。 ケース詳細につきましては、下記をご覧いただき、https://portal.copytrack.comにアクセスしケースID 〇〇〇〇〇〇をご入力ください。2015年よりCOPYTRACKはクリエイターやブランドの著作権で保護された画像を保護するサポートをしております。

COPYTRACKについて
世界有数のデジタルライセンシングおよび著作権エージェントとして、200,000件以上の無断転載の管理、ライセンシング、法的措置に対応してきました。 ほとんどのケースは穏便に解決しておりますが、著作権者の知的財産を保護するため、必要に応じて法的措置を取ることもございます。

COPYTRACK(proof@copytrack.com)から届いたメールより引用

問題とされた画像

COPYTRACKに「著作権違反だ!」と主張された画像がこちら。RF123というサイトで購入したロイヤリティーフリー画像であり、私に使用許可ライセンスがある画像である。COPYTRACKの主張によると「Federico Caputo」という人物が著作権者であるらしい。RF123ではalphaspiritというクリエーター名だった。

思考に気をつけなさい、それは言葉になるから
ちなみに「Federico Caputo」で検索してみたが、この画像はまったくヒットしない。インスタやPinterestに同名のクリエーターがいるが、似た名前は大勢いるのか別人のようだ。

この画像は人気があるせいか、多くのブログやWebサイトで見つけることができる。なのに堂々と権利主張し10万円を請求してくるという厚かましさに驚きだ。

驚きの支払い額

COPYTRACKから提示された金額は次のとおり。使用直後から現在までの過去使用料5万円に加え、1年更新のサブスク(年1万円)、ざっくり合計10万円とするものだ。もちろん今後ずっと年に5万円も支払う契約を要求してきた。とんでもない話だ。問題としている画像は、私がRFサイトから正規に購入した画像だからだ

事後ライセンス料(購入日から1年間有効)389.59 €(5万円程度
過去使用料(過去の使用分)350.00 €(5万円程度
お支払い期限2023/12/14
CopyTrackが提示した合計740ユーロ(約10万円)の高額請求

微妙に支払える額であるところがポイント。経験上、こういうのは詐欺である場合が多かった。

COPYTRACKの脅しは続く

先方はこう続ける。「法的措置を検討している」「115カ国以上での勝訴実績」、つまりお前は逃げられないと。証拠も提示せず訴えると。もうこれは事実上のランサムウェアだろう

解決方法
有効なライセンスをご証明いただけた場合は、すぐにケースをクローズ致します。メールや手紙が無視された場合は、法的措置を検討いたします。 弊社では、北マリアナ諸島を含む115カ国以上で勝訴実績がございます。著作権は世界中で保護されています。

COPYTRACK(proof@copytrack.com)から届いたメールより引用

私からCOPYTRACKへ返答

証拠提出フォームへ、RFサイトの領収書スクショに下記メッセージを添えて送信した。

私はこの写真を「123RF」から2013年に購入している。
添付した請求書画像を見ろ。これが証拠だ。
あなたたちの、私への訴えは間違っている。

COPYTRACKからの返事

英語で次のメールが届いた。謝罪なし。

拝啓
あなたが有効なライセンスをお持ちであると聞いて、大変うれしく思います。
お送りいただいたライセンスを確認し、ケースを終了させていただきます。
ご協力ありがとうございます。

よろしくお願いします
ドロシー

COPYTRACK(proof@copytrack.com)から届いたメールより引用

何が「ご協力ありがとうございます」だ。いい加減にしろである。

私からCOPYTRACKへ返答(最終)

すっとぼけてランサムウェアを堂々と使っている、そんな印象しかない。そんな相手に最後に送ったメールがこちら。

Your complaint was wrong, right?
Your website is being used as ransomware by malicious parties. you need to understand that.
COPYTRACK should widely publicize cases of abuse using your system.


あなたの苦情は間違っていましたね?
あなたの Web サイトは悪意のある当事者によってランサムウェアとして使用されています。 それを理解する必要があります。
COPYTRACK は、システムを使用した不正行為の事例を広く公表する必要があります。

突然アフィリ広告が増えたCOPYTRACK

2017年ごろから「ねとらぼ」が取り上げ突然普及し始めたこのCOPYTRACK。上記のような姿勢で本当に大丈夫なのだろうか? クリエイターが自分の作品の無断使用を防止するために同サービスを利用する場合、請求の半分をCOPYTRACKに抜かれてしまうという。無断使用を放置されるよりはマシだろうが、これを納得するかどうかだろう。

登録推しのブログたち

登録クリエイターの経験談

クリエイター側利用者の経験談があったので紹介します。要約すると、作品が多くない場合は回収率も低く、アクティブ率も少ないためアカウント停止になってしまうらしい。訴える側は訴える側でシステム的な問題がありそうだ。

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被害を受けた方のツイート

こちらは僕のように被害を受けた方のツイートだ。自分の場合は購入証明証がRF123サイトからDLできたが、iStock Photoでは過去ログが消えてしまうらしい。僕もiStock画像を多く使用しているので、その画像で警告メールがきたらとても面倒なことになりそうだ。

この事件から得られた教訓

権利のある画像を使うこと

ということで、そんなことにならないように、普段ブログでの投稿はパクリ画像を使うことを極力控え(当たり前ですが)必ずライセンスのある画像か自分の画像を使いましょう。

違反判定はAIがしてるっぽい

もうひとつ教訓というか気になった点は、違反とされた問題の画像は、COPYTRACKが指摘したページでは使用していなかった点だ。つまり、相手は目視で違反行為を確認しているわけではないようだ。AI技術が進みとんでもないビジネスが生まれる、そんな悪夢の未来が来る予感しかない。気持ち悪い。

この記事を書いた人

mojigumi

「もじぐみ」の代表、コウです。
専門は企画・出版・編集・印刷、Webデザインと管理。最近はブログ、動画、3DCG、AR、LINEスタンプ等のコンテンツ配信にも力をいれ、自分自身もランニングアートでコンテンツ化に努めています。